情報倫理(前期2単位)(1年次以上)


※ 2024年度は担当しません。昼間部。第二部ともに担当の先生のシラバスをお読みください。

概 要

 携帯電話やスマートフォンの情報端末の普及などによって、機器の基本的な操作ができる若者が増加する一方、社会が健全であり続けるために必要とされるネットワークや情報の利用マナーを個人が身に付けることはより難しくなってきています。例えば、メールの同報機能は、抵抗なく使用すると個人情報の保護の問題に抵触する可能性があるとか、震災時に善行を装ったデマのチェーンメールに引っかかると被害者であると同時に加害者ともなりうることなど、自然に身につくものではなく、「情報技術や情報社会の知識」とともに、きちんと学ぶことによってしか身につきません。これらの知識と密接な情報マナーの事例は数多くあります。例えば、音楽CDなど、著作権法で規定された私的利用を逸脱したコンテンツのコピーが一般化して、産業の健全な発展の阻害要因ともなっている現状があります。文字情報に関しても、洋の東西を問わず、ほとんどの大学で、ネット情報のコピー・アンド・ペーストでレポートを作成することに抵抗のない学生が増えたことで苦悩しています。このままでは、私たちの暮らしを豊かにするはずだった情報社会の深化が、社会を支えるべき人間を、ひいては社会そのものを劣化させることにもつながりかねません。
 このような現実に対して「こうすべき」とか「こうしてはならない」といった単なる題目を唱えるだけでは実質的な効果は期待できません。事実関係としての情報と社会倫理とのかかわりに関する「知識」ひいては「見識」に裏打ちされた倫理意識を身に付け、情報(産業)社会の健全な発展に寄与することのできる資質を身に付けた人材が社会に輩出されることこそ大切で、この科目の目的でもあります。その目的のため、本講義では、情報倫理だけでなく、情報化の歴史と社会の変化、経済の受けた影響なども関連知識として取り上げます。
 授業は講義形式で行います。切りの良いところで質問がないか尋ねます。講義の進行上問題がない範囲で随時の質問にも応じます。

到達目標

  • デジタル化の進展に伴って情報社会が成立した歴史を説明できる。(知識・理解)
  • 情報社会の成立に伴って情報倫理が必要とされてきた理由について説明できる。(知識・理解)
  • 現代の情報社会において情報モラルが必要とされる理由と現状を説明できる。(知識・理解)
  • 情報社会の諸問題の解決に関する情報倫理の重要性を商業の観点から説明できる。(知識・理解)
  • 情報社会の健全な発展について、ネット情報から良質な情報(文章、統計データ、図表)を選び出し、適切な引用ルールに則ったレポートを作成できる。(技能)

授業時間外の学習

 テキストは、講義の1回分がちょうど1章分になります。該当する章を事前に読んでおき、疑問点などをメモしておいてください。(60分)

 事後学習として授業で学んだことをノートにまとめます。(30分)

成績評価基準および方法

 情報社会における情報倫理のあり方を客観的に説明できることも重要ですが、自分自身が倫理に適った生き方ができるようになっているかがそれにも増して重要となります。レポートは内容以上に情報倫理に則って作成されているかが重要になります。定期試験60%、確認テストやレポートなど平常点40%の割合で評価します。平常点は出席が大前提となります。

テキスト

高橋慈子、原田隆史、佐藤翔、岡部晋典(2023)『【改訂3版】情報倫理−ネット時代のソーシャルリテラシー−』技術評論社,ISBN 978-4-297-13415-0,価格:本体1480円+税10%。

授業計画

※資料を開くためのパスワードはFUポータルの授業支援に書いています。

情報倫理

1

イントロダクション(スタートアップ授業)
2

情報社会と情報倫理

3

ネットとコミュニケーション

4

メディアの変遷

5

メディアリテラシー

6

情報技術とセキュリティ

7

インターネットと犯罪

8

プライバシーと個人情報

9

知的所有権

10

企業と情報倫理

11

科学技術と倫理

12

ビッグデータとAIの倫理

13

デジタルデバイドとユニバーサルデザイン

14

SNSと情報モラル

15

情報通信社会とリテラシー


履修上の留意点

  正当な理由のない授業中の入退室や私語、室内での着帽、授業とは無関係のスマホ操作、居眠りなどの迷惑行為は行わないでください。授業中に行う小テストで人に答えを教えてもらうのは不正行為です。


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