- 現代の倭寇
- スペインの保養地トレモリノスを訪れたときのことです。同じホテルに、日本人の団体客一行が泊まっていました。ホテルの朝食はバイキング方式だったのですが、ジュースやコーヒーのサービスマシーンの前で、50代くらいの日本人のおばさんが、持参のペットボトルにマシーンのミネラルウォーターを、どくどく注いでいるではありませんか。そしてその後、今度はその娘とおぼしき20歳前半の女が、持参の水筒にマシーンのコーヒーをどくどく注いでいました。こんなこと平気でできるのは日本人だけでしょう。たくさんの外国人客を後ろに待たせて、根こそぎの強奪です。これではバイキングでなくて倭寇です。
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- 譲り「合い」の精神
- これもスペインのコスタ・デル・ソルでのことです。何度か家族で電車やバスに乗る機会がありましたが、幼児を抱っこした妻に、4度とも間髪を入れずに誰かが席を譲ってくるのです。長い行列に並んで、一番に席に座った青年からも、前の席の客が降りて座ったばかりの若い女性からも、何と年輩の(おそらく70歳以上の)お年寄りからまで譲られました。固辞するのは失礼ですから、丁寧にお礼を言って座らせましたが、日本ではまず経験しないことです。いろいろな難しい理屈もあるのでしょうが、これだけは言えます、誰もが自分より弱者に対して優しいのです。我々が“敬老”とか“道徳”とかの言葉に一種うさん臭さを感じるのは、これらに上下関係に基づく一方的(いわれのない)謙譲の意味合いを感じるからではないでしょうか?日本で、お年寄りが他の誰かに席を譲ることがあるでしょうか?結局、大多数の日本人が若い頃も、歳をとってからも席を譲らないし、自らの背中を見せてきた子供達に譲ってもらえないということなのではないでしょうか?
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- 日本語の看板
- スペインの白壁の町ミハスは、とても落ち着いた雰囲気のいい町です。町を散歩するだけで、「来てよかった」と思えるような情緒あふれる町です。でも、一か所だけ雰囲気の良くない場所がありました。この町に存在する必然性のないブランド品販売所、しかもそこだけ日本語の看板が・・・。この町を訪れた日本の団体観光客は、観光名所の見学もそこそこに、この場末のブランド販売所に連行されてくるのです。
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- シーガイアの倒産に思う
- 宮崎のシーガイアの倒産のニュースを聞いた翌朝、スペインのコスタ・デル・ソルに向けて発ちました。そこで感じたことですが、観光客にお年寄りが(したがって障害者も)多いことです。おそらく年金生活と思われる人たちですから、マリンスポーツをするわけでもなく、頻繁に高価なレストランで食事をするわけでもありません。浜辺や町を散策してその土地の気候や人情を楽しんでいるのです。しかし、こういう人たちは時間とお金に余裕がありますし、良質な長期滞在型の旅行を楽しむ人たちです。実際に、みやげ物屋はバラエティーに富んだ品揃えで、安価で良質のみやげ物を揃えています。スペインの特産の革製品、デザイン陶器・タイル、衣料品、アルコール類等々、その土地に限らない周辺の特産品も含んだ品揃えです。隣接する観光地まで1時間、バスに乗って移動するのにわずか片道120円です。早朝には海岸の砂浜を大型機械で清掃する光景が見られました。
日本の観光地のみやげ物というと、どこでも、似たような菓子類、ペナントやキーホルダーや木刀等々、総じて特徴のない魅力に乏しいものばかりです。みやげ物屋も各店総花的で特徴が無く、2,3店覗いてみると、あとは寄る気が失せます。日本の観光地ではバリア・フリーな町造りがなされているでしょうか?また、バスや電車の公共交通機関に乗ったときに席を譲ってもらえるでしょうか?観光スポットからスポットまで一体どれくらいの運賃がかかるでしょうか?高齢社会時代の日本の観光地の取るべき道は、今までの大型リゾート開発のようなものではないことだけは確かです。スペインでは、リゾートは開発されるものではなく、生まれ出てくるもの、という感想を持ちました。
英国の小・中学校は、各学期の真ん中1週間がハーフ・タームという休みになっています。英国の人たちは、この期間を利用して家族で旅行をします。日本のように観光という絶好の消費拡大の機会をGWや盆や正月前後だけに集中させるのはいかにも非効率です。日本では、いくら勤労者の休みを増やしても、観光の潜在性の高いはずの子供のある家庭では、学校が休みでないため観光に出られないことが多いのです。
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- 240V仕様のコード
- 左は240V仕様のACコード、右は日本での100V標準仕様のコードと差込アダプター(青丸)です。ノートパソコン類は、ACアダプターで接続するアダプター形状(赤丸)は共通です。日本で240V仕様のコードを1600円ほどで購入しました。100V仕様では危険という理由でした。しかし、英国の雑貨屋で全く同等の物を600円ほどで見かけた上に、元々の100V仕様のコードでも、私の場合全く支障無く(熱を持つこともなく)使えています。差込アダプターも、英国では安価でどこにでも売っています。
(後日談)帰国後、秋葉原で300円で売っているのを見ました。結局、キワモノということで福岡では安く入手できなかったということになりましょうか。
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- 駐車場のカート置き場
- 日本ではあまり見かけませんが、英国ではカートを駐車場まで押していき、商品を車に積み込むのが普通です。ですから車は、ほとんど頭から突っ込んで駐車します。(トランクに積み込みやすいようにです。)
英国では、買い物は一般に大量になります。マルチディスカウントが一般的で、女性の社会進出の度合いもありましょうが、冷凍の加工済み野菜、レディ・メイドの冷蔵・冷凍食品など、日持ちする物が好まれることもあり、頻繁に買い物に出かける必然性がありません。(生鮮食料品が好まれる日本と違います。)
ただ、駐車場にカートを押していけると、たいへんに便利で、日本にいるときより、一度に大量に買うようになりました。我が国ではカート置き場から駐車場まで商品を運ぶことを考え、買い物の量を自主規制する主婦は少なくないでしょう。もっとも日本では、駐車場のスペースの問題、カート整理員の人件費の問題、車を傷つけられることに対する過剰反応、新しい試みに後込みする官僚主義(大企業病)など、英国とは異なる事情もあるかも知れません。
(帰国後追記)その後、日本でも駐車場のカート置き場は珍しくなくなってきています。
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- MUJI
- Readingには無印良品のお店もあります。場所はオラクルというショッピングモールのタウンセンター側出口の一つです。こちらではMUJIという店名です。商品は、すべて日本と同じもの。説明文の日本語を読むととても懐かしい感じがします。
値段は日本語の定価表示と比較して2倍以上で割高ですが、そこそこ人気があるようです。雑貨が比較的安い英国で、この値段で売れるというのは驚異です。つまりMUJIはブランドなのです。私たちにとって便利なのは、こちらで入手困難な商品が入手しやすいこと。つれ合いが、ここで匂いの少ない化粧水を購入していました。(こちらの化粧水はどぎつい匂いがするものばかりだそうで・・・。)また、缶入りウーロン茶や緑茶が比較的安く買えます。(もっとも、これが割高だと、絶対に売れません。こちらは食料品が非常に安いですから。)
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- ラジエータの空気抜き
- 春先にセントラルヒーティングが故障。修理屋を呼んで事なきを得ましたが、その時修理屋さんから教わったのがこの空気抜きです。ラジエータは空気が溜まると暖まりにくくなるとか。
ラジエータの端には写真のようなコックがあり、これを緩めると、ラジエータに溜まった空気が抜けます。抜けたら急いで締めます。最後にお湯が出る恐れがあるので気を付けて作業する必要があります。この作業をすると、これまで暖まりの悪かったラジエータのいくつかがとても熱くなるようになりました。もう春だというのに・・・。
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- タイマー
- 日本ではあまり見かけませんが、英国ではよく見ます。AM・PMの12時間式で、赤がON、黒がOFFです、2ペアありますが、必要ない方は浮かせておけば無効になります。そして現在の時間に合わせれば、指定の時間にセントラルヒーティングや温水器がON・OFFされます。冬は温水が足りなくなるとシャワーが水になったりしますから常時ON、ヒーティングは夜眠っている間はOFFにするようにしました。ただ、こちらのラジエータ式の場合、部屋が暖まるまで1,2時間ほどかかります。
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- 誰が地獄に行くべきか
- Garages from hell IIIは英国のテレビ番組で、いい加減な仕事をする自動車修理工場の実体に迫るITVドキュメンタリー番組です。客を装い自動車の修理を依頼し、隠し撮りカメラで一部始終を写し、あとで車を徹底的に分解検証し、そのいい加減な修理の実体を明らかにする番組です。隠し撮りされた悪徳業者の映像は無修正で流され、関わった社員の顔も名前も会社の所在地も出ます。英国では、この手の悪徳業者告発の番組は多く、すべて無修正で容赦なく悪党を告発します。英国では悪党には地獄の沙汰が待っています。英国のジャーナリストは自信に満ち、小から大まで断固として「悪」を糾弾します。去勢されたマスコミ屋が多い日本とは違います。
日本の告発番組は、事実を撮ったものであっても、そしてその相手がどんな悪党であっても、顔にぼかしがかかって判別できません。日本から送ってもらったビデオに、「衝撃映像」と称して自販機荒らしの犯行現場を隠し撮りした映像を流した番組がありました。しかし、なぜか犯罪者の顔にはモザイクがかかっていました。未解決の解説付きです。犯行の決定的映像も、テレビ局にとっては、ただ視聴率をとる為のおいしいネタに過ぎないわけです。悪党の顔を隠して結果的に保護するテレビ番組は、「悪事を働いても容易には糾弾され得ない」という誤ったメッセージを悪党達に伝えるだけです。日本では、どんな悪党にも蜘蛛の糸どころか天国への悪党専用エレベータが用意されています。結果として小悪党から大悪党までがはびこる日本では無辜の市民が地獄の沙汰を受けるのです。日本では、警察の捜査力の低下から犯罪の検挙率も急激に悪化中で、今では犯罪者の3/4は逃げ延びているのが現状です。
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- 日本人は「その他」
- 小学校の入学申込書もそうでしたが、2001年4月におこなわれた国勢調査(Census)の調査用紙を見ると、宗教や民族についての質問項目があります。英連邦の諸国の回答項目が別枠なのは当然でしょうが、それ以外ではタイや中国はありますが、日本人はその他に入ります。中国民族のマーク欄の下にある「その他」欄にマークするわけです。
センサスは10年ごとにおこなわれ、調査票は100年間は保存されるのだそうです。
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- 海外で安い旅行用品
- 海外旅行がこれだけ一般化しても、旅行用品は日本では相当高いです。ところが英国では右の写真の旅行用(100V,240V両対応)のケトルはバーゲン価格900円でした。(通常価格1800円)。同メーカのトラベル・ドライアー、アイロンはこれ以下の価格でバーゲンされていました。布張りのスーツケースは通常価格でも3000円台から買うことができます。英国でこの手の旅行用品はWOOLWORTHSなどで購入できます。(参考:240V仕様のコード)
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- 英国の恥部、低俗番組
- これはBANZAI(バンザイ)と称する、チャンネル4の低俗番組で、「ジャパニーズ・スタイルのバラエティーショー」というのがサブタイトルです。
その内容たるや、電動車椅子の老婦人同士にチキンレースをやらせてどっちが勝つか賭けたり、他人の玄関のドアを叩いて逃げ、家人がドアを開けるまでの時間を賭けたりと、まるで馬鹿馬鹿しい内容です。時折、日本人らしき出演者が中国風BGMとともに現れ、しかめっ面で怒鳴るようにバンザイ!と叫んだり、ローマ字棒読みの英語でゲームの解説をしたりと、とことん日本人を馬鹿にしているのです。画面にも漢字ともハングルともカタカナともつかない未知の文字が並びます。しかし実際の出演者はほとんど英国人で、英国人自らの低俗性を無関係な日本人に押しつけるスタンスが断じて許せません。紳士の国にもこんな物があるという例です。
ただ、かつて、出演者が馬鹿げたゲームにチャレンジする日本の低俗番組が多数欧米に輸出され、ウケたという事情が低俗番組=日本番組という意識を植え付けたのでしょう。未だに下半身を露出して笑いをとるなどの低俗番組が日本人のお笑い低俗芸人によって量産される日本・・・。それが許される日本・・・。稼げれば何でもアリの日本。これらがいつの日か海外に輸出され、日本人のイメージを貶める可能性があるのです。何十億、何百億もかけた日本のPRも、たった一本の低俗お笑い番組の輸出によって無に帰すのです。
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- URLつき枕と遊び場
- ノルウェーのBergenからMyrdalまで列車に乗ったとき、座席枕にインターネットアドレスが書かれていました。日本では、意識的にはまだキザったらしい感じがするURLのPRも、ヨーロッパではどこにでも氾濫しています。意識の上では日本より進んでいます。ちなみに、後ろに見えるのは車両の約半分を潰して設けられた子供用遊び場です。このような設備も日本ではまず見ないでしょう。
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- 銀行?酒屋です。
- 電光掲示に待ちの順番が表示されれば、窓口に行ってブツを受け取ることができます。ブツとは酒です。ノルウェーでは酒は専売。1次産業保護のためEU加盟を1994年に国民投票で否決した国だけあって、食料品をはじめとする物価は日本並みに高く、規制あるところ高物価ありです。
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- 空き缶、ペットボトル回収機
- ノルウェーは、英国に比較してゴミの分別にはうるさいようです。これはスーパーに設置された回収機です。幾つか入れてボタンを押すとチケットが出てきます。チケットが割引券なのか何なのか確認する時間がありませんでしたが、若者がたくさんの空き缶を入れてチケットを受け取っていました。
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- 子連れ用ショッピングカート
- これはノルウェーのBergenのショッピングセンターにて。事務所に申し出れば、このショッピングカートを借りて買い物ができるようです。手前の車の部分に子供が座り後ろは買い物のカートになっています。子供は大喜びですが、列車の遊び場といい、このような設備は日本では稀でしょう。国の将来を左右する子供。日本は少子化が進んでいますが、それも肯けます。子供達は厄介者か商売の対象でしかない日本と好対照です。
帰国後、近くのスーパーでこれに似たカートを発見しました。日本もそれなりに進んではいるようです。
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- 忘れないでください、公務員の本分。
- 2001年7月に予定されている参議院選挙に向けて、在外選挙の宣伝が、日本国総領事館の名前で日本人向け情報誌に毎週載るようになりました。キャッチコピーは「忘れないでください、日本の選挙。」。ところが、在外選挙人名簿の登録も投票自体も、非常に不案内かつ不便であることが分かりました。
- 広告に明記されている「お問い合わせ先」に電話しても自動応答が対応するだけで、信じられないことに、その音声ガイドには在外選挙の項目が無いのです。結局、電話代を損をする仕組みです。(6月27日現在:日本からも国際電話で聞くことができます。)
- 在英期間の長い知人に聞いたところ、今回なぜかロンドンの大使館では投票受付せず、エジンバラ日本国総領事館一か所のみとのこと。
すると、在英日本人の多くが在留するロンドン近郊からは車で片道十数時間飛ばすか、飛行機に乗るかしてエジンバラまで投票に出向くか、時間がかかり不便な郵送投票にするしかないわけです。「どこででも」とは謳っても「投票所を設けている」という条件が付いていることを忘れてはいけないわけです。
日本の在外公館に関して「在外選挙を、いかにやり難いものにするか、嫌がらせとしか思えないほどの不誠実なサービスと不便を強い、しかし表面的にはPRしているように見せかけている。」という評判が在留邦人によって囁かれているのをよく耳にします。
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- 「改悛の罪人」効果
- 家族と一緒に海外で生活していると、実家から孫のために録画したアニメのビデオテープが送られてきます。そのアニメを見ていて、ひとつ気付いた点があります。それは、「最初徹底した悪役で登場したキャラが、主人公に敗れるなどした後、改心して味方となったり、善人に変わる。」というスジが非常に多いことです。
ところで経営分析などで用いられる理論のひとつに「ゲーム理論」というのがあります。その理論の「囚人のジレンマ」という状況下での心理実験で、「当初、あるプレーヤーが徹底して非協力的に振る舞い、相手がうんざりした頃に突然協力的に転ずると、相手から寛大に許され、それ以降は相手から継続的な協力的対応を勝ち得ることができる。そのあと、たまに過ちを犯して非協力的な対応をとっても、寛大に転じた相手からは大目に見てもらえる傾向がある。」というものです。これを「改悛の罪人」効果といいます。その反対に、普段から真面目だった人が過ちを犯すと、逆になかなか信用を回復できない、「堕落した聖者」効果というのもあります。
日本のアニメ脚本における前述の傾向や、芸能界で闊歩する「元暴走族で今は人気コメディアン」「元ヤクザで今は人気作家」「元ヤクザで今は芸術家」などのPRの仕方が枚挙にいとまがない例から見ても、日本人の「改悛の罪人」効果は非常に大きいのではないか、と思われるフシがあります。日本では元々そういう傾向が強いところで、マスコミに出てくるアニメやタレントにもそういう傾向が現れているのか、逆にマスコミの影響で日本人のその傾向が強くなったのかはわかりません。しかし、私たちの勧善懲悪的ストーリーを見て育った世代には、違和感がある世相です。勧善懲悪(二元論的世界観)自体は当時から批判の対象ではありました。しかし、最近の善悪を明確に示せない大人の世代が増えたのも、若い世代の真面目を馬鹿にする雰囲気も、この行き過ぎた価値相対主義の結果ではないか、と思われるのです。
欧米ではキリスト教が有力ですが、これにはどんな人間も過ちを犯すものであるという考え方が根底にあり、日本とは違って、その「人間の本質」と「たまたまの行為である悔い改めや過ち」とを区別します。したがって必要以上に寛大にされたり、必要以上に失望されたり、ということが日本よりずっと少ないような気がするのです。ですから、タレントが「以前は悪党だった」ということがプラスのPRにすらなる日本と違って、こちらではプラスには働かないようです。私は、その方が社会にとってずっと健全である、と思います。
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