英国レディング滞在記
(2001/1/1〜2001/8/24)
レディング滞在記(2000/8/22〜2000/12/31) 英国雑感(食) 海外生活雑感
2000年8月下旬から1年間、英国Reading(レディング)大学に滞在しました。研究テーマは「インターネット市場の分析」です。レディングはバークシャー州の州都で、ロンドンの西に位置し、ロンドン・パディントン駅から列車で30分ほどの場所です。リーディングではなく、レディングと読むのは、Reada(レーダ:赤を意味する、赤毛のバイキングか?)という指導者に率いられて、この地に最初に定住したReadingas(レディンガス)と呼ばれる人々の族名から来ているからなのだそうです。人口規模は15万そこそこだと聞いていますが、同じ人口規模の日本の都市に比べると、はるかに都会という感じがします。英国の町はどこでもそうですが、町のあちらこちらに広大な芝生の広場がありました。
以下の話題は、書き込みが新しい順になっています。目次は過去の滞在記にもリンクしています。また、レートは£1=¥160〜¥180(時価)で計算してあります。
- (公共料金の精算)不在中の日本での話からはじめます。留守宅の水道料金は使用していませんから基本料金だけのはずですが、何と1年間に2度にわたって多額の料金引き落としがあっていました。いずれも水道局側のミスで、1度目はその後の基本料金支払いで帳尻を合わせ、2度目はこれから帳尻を合わせてもらわなければなりません。
英国での公共料金については、帰国3週間前の8月1日にガス会社、電力会社、水道会社、電話会社(BT)、国際電話サービス会社に連絡して、帰国するので精算して欲しいとお願いしました。しかし、最後の最後まで英国式対応を楽しむことになりました。結局、連絡が来たのは水道会社からのみ。しかも、これは前払いだったらしく、「予算が余っているので引っ越し先を教えてくれればそちらの料金クレジットに加算する」とのこと。「帰国って書いたのにな」とは思いつつ、これは事実上放棄の覚悟を決めました。それ以外ですが、結局帰国日までなしのつぶてでした。つまり精算の請求が来なかったということです。いずれ家主から請求が来るでしょうが、何とものんびりした話です。
参ったのが国際電話会社です。これは当初「ファースト・テレコム」と言っていたのが、途中から買収され「アトランティック」さらに転売され「ブリース」という具合に、わずか1年間に会社が2回も変わり、しかもアトランティックの時に日本語サポートセンターが廃止されてしまいました。放っておけば、クレジットが5ポンドを下回った段階で、100ポンドリクレジットされてしまいますので、帰国間際に引き落とされてはたまりませんから、慣れない英語で電話して解除を求め、何とか再クレジットを解除しました。もっとも、英国では絶対信じてはいけないのがこの手の手続きです。結局、6ポンドほど残してあとは使用しないようにしました。国際電話ビジネスは英国では2000年頃華々しく値下げ競争が展開され、各種情報誌にもでかでかと広告が載っていましたが、2001年後半から急速に不景気になったらしく(過当競争か?)広告もあまり見なくなりました。さて、日本では2001年の現在、これからまさに競争が始まりそうです。国内通話の値下げ競争はもちろん、フュージョンが国際電話料金を9月から引き下げ、時間帯にかかわらず1分間30円で英国まで電話できるようになるようです。英国からの国際電話に比べるとまだまだ倍近くですが、それでも通信分野での体力勝負の競争はこれからも激化しそうです。
- (銀行のサービスの変化)2001年の8月上旬からシティバンクの海外送金手数料が、前前月預金残高100万円以上の場合従来の無料から2500円かかるようになるようです。前前月の残高が100万以下の場合、4000円かかるのは従来どおりです。この1年間、家賃の振り込みや生活費の送金で随分無料サービスの恩恵を受けましたが、これも8月上旬以降は無くなるわけです。最近は日本の都市・普通銀行等でも海外のキャッシュポイントで引き出せるようになっているようですし、シティ銀行のアドバンテージも刻一刻と変化しているようです。海外に長期に出る予定の人は、自分が必要とするサービスについてしっかり比較検討して、有利な方を選択する必要があるでしょう。
- (怖い海外のキャッシュマシーン−その2)近くのスーパーにある銀行のキャッシュマシーンから(同銀行のキャッシュカードで)現金を引き出そうとしたところ、現金は出ず、レシートだけが出てきました。レシートには、きちんと200ポンド(約36000円)引き出し額と引き出し後のさっ引かれた預金額が明記されています。キャッシュマシーンの横にある銀行の窓口は時間外でシャッターは半分まで閉まっていました。人の気配がしていたので、シャッターをノックして頼んだのですが、「今できることは何もない」「明日来てくれ」の一点張りでした。
結局、翌日まで嫌な気分を引きずりながら朝一で同窓口で尋ねてみると、こともなげに「お金が出ていないのなら引き出しは実行されないはず。」「昨日の引き出しの記録もないし預金残高も元通りである。」とのこと。まったく日本人には信じがたいことですが、これが英国流なのです。じゃあ、キャッシュマシーンであたかも引き出されたようなレシートが出ないようにすべきだ、と思うのですが、こっちの人はその点はそれほど重要なのではないようです。こっちのレシートは残高が更新されて正しい残高表示になるなるまで半日以上かかるようですし、どうやら銀行本体とオンラインで接続されてリアルタイムで情報が更新されているのではなさそうです。その場その場で、残高と引き出し額から電卓よろしく引き算してレシートに記録するようです。(なおシティ・カードによる提携ATMでの引き出しはレシートが出ても残高などは表示されません。)また、キャッシュマシーンが現金不足で引き出せないことは頻繁にあるそうです。
- (怖い海外のキャッシュマシーン)オスロ空港でCD(シーラス表示のシティバンクOKバージョン)で1000クローネ(約13500円)おろそうとしたら、「あなたの銀行が拒否しました」というメッセージの後、カードが戻され、お金は出て来ず、初期画面(「カードを入れてください」)という状態に戻りました。カードを飲み込まれるのが怖くて、それ以上トライできませんでした。あきらめて次のベルゲン空港でおろそうとしましたが、何と小さなベルゲン空港にはたった1箇所しかCDがなく、しかもシーラス非対応でした。バス(運転手にキャッシュで運賃を支払う方式)で市内まで40分かかる距離で空港の周りは荒野です。
とにかく手持ちのポンドをかき集めると20ポンド近くになり、両替窓口で約250クローネに両替。バス運賃110クローネを支払って市内まで行くことができました。冷や汗ものでした。市内のCDでもシーラス対応は少なく、ようやく探し当てたシーラス対応CDで2000クローネをおろして一息つきました。
これには後日談があります。帰英後、インターネットで取引履歴のチェックするとなんとオスロで1000クローネ引き落としされたことになっているではありませんか。結局、シティバンクに電話したら、とりあえずリファンドして調査するとのこと。2日後確認したらリファンドされていました。しかし、調査の結果が気になるところです。(このシティバンクの迅速な対応には感心しました。日本の銀行だったら、なかなか信じてもらえなかったでしょうし、リファンドも容易ではなかったでしょう。)日本では、CDで引き出しできないということすら稀で、おろせなかったのに残額だけが減っているなどということはあり得ませんが、海外で(提携関係の他銀CDから引き出しすること)は引き出せないことはよくあることで、さらには相当なリスクが伴うということです。少なくとも、何らかの形で引き出し額のチェックはこまめにやっておいた方がよいという点が一つ。さらに、どの国の通貨であれ、現金をある程度所持することもいざというときのため必要です。
- (良質なテレビ番組)英国の幼児番組、子供番組は日本の番組に比べてはるかに良質です。最近ではケーブルや衛星放送で日本でも見ることができるようになりましたが、4人の子供の宇宙人(?)が主人公のテレタビーズや、人間の着ぐるみトゥイニーズなどをよく見ると、日本の子ども番組よりもずっと良質であることが分かります。日本のこの手の番組では親が真似して欲しくないキャラクターばっかりです。例えば、ハキハキ喋らない(無表情なしゃべり方をする)キャラ、身勝手なおねえさんキャラ、頼りない大人、大人を馬鹿にする子どもなど。でも、英国のキャラクターは幼児なら天真爛漫、子どもなら例外なく素直で明るくハキハキしています。大人のキャラクターは大人らしく権威があります。このような番組も、日本の子どもが抱える問題の原因の一端であるように思えます。良質なスタンダードを提供できない放送局に対して、視聴者はもっと声を上げてもいいのではないかと思います。
ちなみに、日本のこの手のキャラクターはちょくちょく変更され、親子の間で同じキャラクターについて語れませんが、英国ではそのように無節操にキャラクターをモデル・チェンジされることはないようです。それと、着ぐるみキャラクターの出来も英国の方がはるかに上です。日本の番組では、キャラクターの口を動かす際には左右どちらかの手で動かすようで、その場合使っている方の手はぶらんと吊られた状態のままです。あるいは、逆に口はただぶらぶらするだけの場合もあります。こちらではすべて、どのような仕組みでか、口は独立してセリフに合わせて動いています。(まばたきすらします。)子ども番組だから子どもだましでよいという姿勢ではない証拠です。
アニメーションはこちらの民放でも日本のものがよく放送されていますが、時間の無駄のテーマソングは省略、その合間に絵などの芸術のテクニックを専門家が子供向けに興味を引くような形で紹介するコーナーがあったり、番組作りをする人間の文化を支える者の一員としてのこだわりが感じられます。日本のマスコミが子供・若者文化を退廃させているのと対照的です。英国では夜8時前には子供への悪影響を考慮して、アダルトな要素や低俗な要素を含んだ番組が放映できないという規制があります。ヨーロッパのほとんどの国にもその手の規制があります。(英国の8時以降の例外的低俗番組についてはこちら。)
- (Japan 2001 あとの祭り)5月の20,21日とロンドンのハイドパークでJapan
2001 "Matsuri"と銘打った日本の紹介イベントがありました。英国にいると、例えどんな物であっても日本に関係したことに興味がわくもので、物見遊山に出かけました。しかし、人出の多かったこと。多くは英国人でしたが、日本人とおぼしき人も多く(我々もそうでした。)いました。だだっ広い広場にテントで寿司や焼きそばやうどんといった模擬店がたくさんありました。端っこに2箇所ほどステージが設けられ、和太鼓や三味線の演奏があっていました。中央の大テントでは、お茶や茶道といった日本の伝統文化を実演する催しに大行列ができていました。帰りしなに、前を歩いていた日本人の若い女性が「なんか大規模な学園祭のようだったね。」と言っていましたが、それがこの催しを的確に言い当てた言葉でしょう。もう少しスマートに日本を紹介すればよいのにという思いがあります。日本人の日本PRは昔から拙劣との定評がありますが、いい社会人になっても学祭のレベルからなかなか“卒業”できない日本人が多のでしょうか。パンフが2ポンドというのは、ちょっといただけません。
テントの和食は大変な人気でしたが、日本人が多かったせいか、順番待ちが出鱈目で行列ができず、おしくらまんじゅうして、さっと金を出して買う者が勝者となる状態でした。行列できちんと並ぶのが好きな英国人には、この日本的“我先に殺到方式”は、日本文化の一面を知る一助になったことでしょう。
それはともかく、良かった点も述べておきます。ここで食べた寿司は、職人がその場でにぎっていたこともあり、とてもおいしいものでした。鮭とエビだけで、1個1ポンド(現レートで180円)で少々高めでしたが、久しぶりに本物を堪能できました。
- (海外送金とATM引き出しの為替)シティバンクに限らず、最近は海外のATMでの引き出しができる銀行サービスが普及していますが手数料は様々、交換レートの計算の仕方もまちまちで、どこが有利なのかはケース・バイ・ケースでしょうが、今回はシティに関する話題。
シティは前前月の平均残高が100万を超えると海外送金手数料が無料になるというのは以前書いたとおりです。その際の交換レートは、時価プラス手数料代わりの2円ちょっとです。ところが、最近ATMで引き出したときのレートは、その時の為替レートプラス10円前後は取られているようです。海外ATMは設置されている場所のオーナーが手数料を引く場合もあり油断は禁物ですが、銀行内ATMでそうでしたから、「かなり」相場が悪いのは間違いないようです。ただし、町の両替屋よりはレートがいいようです。
したがって、英国で銀行口座を持っていれば、そこに海外送金し、その英国銀行のATMでおろした方がレートがいいことになります。1000ポンド(18万円)も送金すれば、ざっと7〜8千円は有利ということになります。もちろん送金手数料4000円が無料になるという条件の下で、運悪く中継銀行に中間手数料を引かれなければ、という条件付きです。私に限っていえば、これまでのところ海外送金で中間手数料を取られたケースはありません。資金運用も利口にやるべきであるという一例です。無頓着にしていては、100万円の資金も、実質90万になってしまいます。
- (再び国際電話のトラブル)以前にも会話ができないトラブルがありましたが、今回はノイズがひどくて事実上会話ができない状態が4日間続いています。この国際電話サービス業者はアトランティックという業者(以前はファーストテレコムと称していた。)で、日本の携帯電話向けでも、固定電話向けと同じく1分7ペンス(13円程度)という安さにひかれて契約しましたが、これでトラブルも2度目で、今回は対応も良くありません。ヘルプに電話すると、BTの国際回線自体にノイズがあってどうしようもない、とのこと(またしてもBT!)。善処を要望した電子メールにも今回は無返答でした。仕方なく、KDDIヨーロッパの回線経由で日本向けの電話をかけています。こちらは1分11ペンス(20円程度)ですが、圧倒的に音質が良くトラブルも今までのところ皆無です。
- (車売買のトラブル)今年は例年になく寒い3月で、中旬に雪が降りました。桜が咲く中での雪でした。Readingでも桜は町のあちこちで見かけます。3月末、英国で親しくなった日本人の知人が帰国しました。一抹の寂しさを感じました。その帰国1週間前の話です。
その知人が、4月に英国に来る別の知り合いに譲る予定だった車が、突然「所有権は我が社にあるのでは?」というローン会社からの問い合わせがあったというので、ショックを受けたとの電子メールをもらいました。どうやら、前の持ち主が、ローンを払い終わらないうちに車を売り払い、それを承知で中古車屋が車を転売したらしいのです。彼の車は2台とも地元の中古車屋から購入したものです。売買契約書も揃っており、登録証も彼の名義になっています。
このトラブルは、結局Reading大学経済学部の秘書が間に入って電話で交渉してくれた結果、相手のローン会社から所有権の主張を断念する旨のFAXを得て解決しました。そのローン会社も車の獲得にはさほど熱心でなかったようです。これほどクリアな解決も珍しいくらいで、大変幸運だったのかも知れませんが、このような込み入ったトラブルでは、地元の人(ネイティブ)に頼った方がいいという典型例でしょう。知人は交換教授で米国の大学で教鞭をとった経験もある人ですが、一人で解決しようとしたらこうはうまく行かなかったでしょう。
英国では、ここ2年ほど前から新車の価格が下がり(理由は、ヨーロッパ大陸が安いというので、海外で購入する人が増えたというので、政策的に安価に入手できるようにしたようです。)、中古車価格もかなり下がったようです。ただその「下がった価格」というのは、売値のことではなく「買い取りの値段」です。それにしても、中古車屋も無責任なことをするものです。ちなみに、日本では善意の第三者に返還義務はありませんが、英国ではどんな理由があっても最初の所有者に戻されます。幸いだったのは、その車が盗難車などではなかったことです。ちなみに英国の車は生産されてスクラップになるまで、同じナンバープレートです。AA(日本でいえばJAF)のホームページでは訳アリ車の情報が入手できます。
- (再入国)いったん英国を出国した場合、英国に戻るときまた入国審査を受けなければなりません。英国以外のEU諸国に入国する場合には、あっけないくらい簡単に入国できます。質問らしい質問も受けず、ハンコを押してもらうだけです。入国カードの記入の必要もありません。しかし、英国への再入国となると、これがどうしてかなりの重圧です。一旦出国した以上、それまでの滞在許可は無効になる、と考えた方がよさそうです。もっとも、余程のことがない限り、初回の入国時に提示を求められたような、インビテーション・レターや所得証明書などの再提示を求められることはありませんが、念のため準備しておいたほうが無難です。着陸直前にスチュワーデスが配りに来る英国へのランディング・カードをもらって、書き込んでおく必要があります。(イミグレーションの窓口近くでもカードが用意されていますが、時間をロスします。)私の場合、幸いにも簡単な質問を2,3受けただけで、5分ほどでそのまま再入国が許可となりました。初回の滞在許可(いわゆるビザ)のハンコもそのまま有効です。しかし、実際に聞いたところでは、私と同じ立場で再入国時に質問責めに遭い、15分ほどかかった人の例もあります。ちなみに、EU諸国のパスポートを持った人たちは、窓口が別で、そちらはほぼフリーパス。それ以外の国の人たちが、長蛇の列を作って並んでいるのを横目に、どんどん通過していきます。こちらはあくまで「一時的に滞在にさせていただいている」身ですから、どんな質問も、証拠書類の要求も甘受しなければなりません。ちなみに、留学生として再入国する人たちの場合は厳しく、再入国のための書類は必須、帰りの航空券(もしくはそれに値する預金残高証明)も念のため用意した方がよいそうです。
- (為替相場)2000年8月時点で1ポンド=160円だった為替相場は、12月上旬までに1ポンド=150円台前半まで円高に振れ、年末から2月にかけて一転1ポンド=170円を超える円安に振れました。円安は、日本の輸出企業にとっては追い風ですが、日本経済の将来に対する不安からきた円安ですから、ドルに対してもユーロに対しても、そしてポンドに対して全面安の様相を呈しています。日本では同時に株安も進んでおり、3月2日時点では、1ポンド=175円、平均株価は12261円にまで下落しています。
実際に、我々がATMでポンドを引き出したり、クレジット・カードで買い物をするときの円・ポンドレートは、為替相場よりも若干悪いレート(対顧客相場)になります。現実に英国で生活する者としては、最も安いときの水準よりも1割以上も円が安くなりますと、一月の生活費が25万円として、3万円弱高くなる計算になります。このページの換算レート1ポンド=160円では、この時期の円で表現した価格としては、かなり控え目ということになります。多少高めに読み直す必要があるかも知れません。
- (駐車場)英国は、町の中心部にNCPというナショナル・カーパークがよく整備されていて、クリスマス前後のように込み合う期間以外であれば、駐車場を探し回ることはまずありません。日本のように、最初に駐車券を取って、帰り際に時間に応じて支払うというシステムもありますが、日本に無いシステムとして、先払い方式が普及しています。車を停めた時点で、駐車券の自販機まで歩いて行き、1時間、2時間、3時間・・・と自分が停めたい時間分の駐車券を購入し、それを車のフロントガラスの内側に貼り付けておきます(シール式になっています)。定期的に駐車券の有無や予定時間の超過の有無を調べに来ますので、そのとき有効な駐車券を貼付していなければ罰金を取られることになります。レディングでは1時間200円程度ですが、周辺の小さな町では1時間80円程度の場所もあります。また、駐車場と提携した商店で商品を購入する際に提示すれば全額または一部がRefundされる券が付いているところもあります。払い戻しを受けたいときは、そういう券が付いていないかチェックして切り離し店に持参する必要があります。
先払い方式の駐車場の多くは夜6時以降、翌朝8時頃まで無料になります。また、日曜日も終日無料のところが多いです。スーパーマーケットの駐車場も夜間は開放されている場合が多いようです。もっとも、車上狙いなどのリスクは増加しますし、それに対しては自分自身で責任を負う必要があります。安息日である日曜日は、商店も休むところが多いようですし、車で出かける人も少なく、多くの駐車場の管理も行われていません。ゲートは開いたままです。ただし、クリスマス商戦の時期などは別です。
- (社会人教育)英国ではAdult Educationが盛んで、安価な料金で英会話をはじめフランス語、ドイツ語、スペイン語等の語学、芸術、コンピュータ、刺繍やフラワーアレンジメントといった趣味に到るまで受講することができます。ちなみにReadingの近くのWokinghamにあるBracknell
Collegeの英会話の例では、週2日5週間で計10回の講習で16000円(夜間は半額)程度で受講できます。おそらくほとんど公的な補助金で成り立っているのでしょう。地方によって多少違いますが、資格や入学試験はなく、誰でも受講できます。最初に簡単なテスト(4択の問題をたくさん解かされる)を受けレベルを指定されます。レベル1(初心者)からレベル6(熟達者)まで用意されています。大学にも留学生向けに開講されているインセッショナル・イングリッシュはビジターにも開放されており、同程度のfeeで受講できます。ある程度の期間滞在する人にはお勧めです。身近な人に尋ねるとか、近くのCollegeを覗いてみてパンフレットを入手するといいでしょう。academic
year(9月から6月まで)に何期かに分けて開講されます。途中からでも申し込むことができますが、1年間滞在するなら、なるべく9月からはじめた方がスキルの向上の点で望ましいようです。
- (お釣りがもらえない!)HEELAS(ヒーラス)といえばReadingでも1,2を争う老舗のデパートです。ところが、ここで買い物をしたとき、その場でお釣りをもらえませんでした。レシートだけ渡されお釣りが渡されない。レシートにはきちんと支払った金額、お釣りの額が明記されているのにお釣りが手渡されない。その場で「お釣りをもらっていない」と言っても、当のレジ係はしれっとして黙って横を向いたまま。隣にいた店員が「今この場で確認できないので、お釣りは出せない。レジを一旦しめて再計算して確認した後でないと出せない。20分後にまた来てくれ。」と言う。いったんレジを離れた後、しばらくして戻って言ったのならまだしも、レジの、まさにその場で、手は出して広げたまま(2,3秒後に)言ったのに、この対応です。「20分も待てない」と言ったところ、証明されたら郵送するので住所を書いてくれと言う。押し問答の末、結局そうするしかありませんでした。ちなみに、英国の20分は往々にして1時間になったりします。また、子供を学校に迎えに行く時間が迫っていたという事情もありました。それにしても、この硬直的対応。レジの引出しをいったん閉めてしまった以上、いくら自分のミスでも絶対に過ちを認めない態度には唖然としてしまいます。スーパーで肩がちょっと触れただけでも、すぐにSorry!と口にする英国人も、車の事故現場はおろか、わずかでも利害が生じると、100%自分の落ち度でも決してこの言葉を使わないという側面を、しかとこの目で観察することができました。まあ、このページのネタをHEELASで買わせてもらったと思うこととしました。(注:ただし正確にはその店員が“英国人”だったかどうかは不明です。いわゆる典型的な白人の英国人ではありませんでした。)
日本では、例えば502円の買い物をしたとき1002円を渡して500円のお釣りをもらうということをよくします。しかし、こういった配慮は英国では歓迎されないどころか危なくさえあることが、この経験で分かりました。千円札を渡して498円のお釣りを出させる方が、レジ係にお釣りの意識を持たせることになっていいようです。つまり現金で買うときには切りのいい額で買った方が良いようです。実際、端数を上乗せするお金の出し方は、英国ではかえって嫌がられることの方が多いと、知人からも聞きました。小銭の種類は英国は8種類(日本は6種類)もあり、溜まりがちになるのは困ったことですが。
(2001/2/15追記)6日後、お釣り分の切手を同封した書状が届きました。書状には「戻さなかったお釣りをその価値分の切手でお送りする。」「不便をかけて申し訳ない。」「これで完全な問題解決と満足を感じていただけることを希望する。」旨英文で書かれていました。謝罪の言葉はどこにも見あたりませんでした。
- (Who want's to be a millionaire?)これはTVの4択クイズ番組で、100万ポンド(1億6千万円)の賞金を目指して15問の質問に答えるという視聴者参加型番組です。回答者は、観客の投票結果を見たり、友人に電話で聞いたり、4択を2択にする3つのライフラインを1度ずつ利用できます。私は知りませんでしたが、日本でもみのもんた司会で全く同じクイズ番組があっているとか。音楽から趣向からすべて同じだそうです。日本では、なかなか3つのライフラインを使わずに、間違えて賞金を大幅に減らしたり、無謀な賭けに出て賞金額を減らすケースが多いそうで、しかも、最高金額も日本の場合はわずか1000万円だそうです。規制(景表法)の影響でしょうか。
英国の参加者を見ていると、比較的早期にライフラインを惜しげもなく使うこと。無理な冒険はしないことがわかります。例えば8000ポンド(140万円)の賞金額から16000ポンドに倍増する問題の場合、4択で自信がない場合は、まず間違いなくあきらめて8000ポンドを手にすることです。(間違えると1000ポンドになる。)これは、期待利得で考えると当然の帰結です。16000×1/4+1000×3/4=4750<8000(*注)だからです。でも、日本でこの番組を見ていた家族の話では、日本人の場合はチャレンジして失敗することが多い、のだそうです。これは英国人がリスク・ニュートラル(あるいはリスク・アバーター)に近く、日本人がリスク・ラバーに近いということかもしれません。あるいは、一般的傾向ではなくて、この手の番組に出場する人たちの傾向に偏りがあるのかも知れません。いずれにしても、英国の場合、ほとんどの参加者が最低32000ポンド(512万円)は稼ぎます。64000ポンド獲得者はざらで、128000ポンドも珍しくありません。英国の番組作成のポリシーは、参加者に幸せになっていただきたい、それを観て視聴者も一緒に喜びを感じていただきたい、ということのようです。ちんけなタレントに莫大な収入を与える日本の番組作りとは根本的に異なっています。ちなみに、スポンサーには日本の有名企業もついています。
英国人は、賭けが好きだと言われます。町には賭け屋が公然と営業していますし、ナショナル・ロッタリー(宝くじ)も大盛況です。なのに、クイズ番組で見る限り、非常に堅実に見えるのはなぜでしょうか。一般に英国では賞金額が十分に高く、既に十分な賞金が保証されているため、効用が頭打ち傾向にあるのか、あるいは日本人の場合、賞金額そのものというより、そういう場で無謀なことをしてみせる自らに酔う傾向があるのか(モノの選択ではなくコトの選択に走る傾向があるのか)もしれません。
ところで、イタリアを訪問した際に、ホテルのテレビで偶然イタリア版のWho
want's to be a millionaire?を見ました。これもまた、音楽、ロゴ、タレントの雰囲気など全くと言っていいほど同じ作りでした。少なくとも日・英・伊で同種のクイズ番組が放映されていることになります。(2001/2/25追記:スペインでも放送されていました。)(2001/5/21追記:この番組はイギリスがオリジナルで、世界66カ国!でライセンス放送されているそうです。)
英国の番組司会者は当地で有名なクリス・タラントで、ウイットに富んだ、とても感じのいい紳士です。回答者を迷わせたり、脅かしたりするような意地悪はまずしません。私は元々、日本のサディステッィクな傾向のあるこの種のクイズ番組は大嫌いでしたが、英国では見ても後味が悪くありません。
(*注)この計算は、当該問題の賞金だけに関する期待値です。正確には、正解時には16000ポンド以上の32000ポンド、64000ポンド・・・の問題挑戦権が得られるわけですから、その権利の期待値も計算する必要があります。この挑戦権の期待値の計算は結構難しい問題になります。それは、回答者がどういう戦略でクイズに答えていくかということに依存するからです。もっとも単純に考えるとすると、以降の問題全てにライフライン無しにチャレンジし、しかもランダムに回答するというケースの場合、何と約8700ポンドになる計算になります。結果は逆転してチャレンジする期待収益の方が大きいことになります。もっとも、このような戦略を採る回答者は皆無でしょう。実は最低保障賞金というのもあって、32000ポンドはそれにあたります。16000ポンドから、この賞金額にアップする問題へのチャレンジは以降の期待値を大きく反映して、チャレンジする傾向が強く、それ以外ではそれほど反映しません。また、64000ポンドの問題は、どんなにわからない問題でも必ずチャレンジします。期待値の計算は非常に複雑で、回答者がそれを計算するのは不可能です。他方、一つ一つのチャレンジを独立したギャンブルと捉えると、上で計算した当座の期待値でいいことになります。一般的に、ギャンブル参加者は正確な期待値を予測できないがゆえにギャンブル業は成立します。(もちろん、期待値と期待効用のズレという側面もあります。)逐次的に当座の損得を計算していると見る方が現実的と思われます。You
should never count your chickens before they
are hatched. (捕らぬ狸の皮算用)という諺もあることですし。
- (インターネット通販)日本から持参してきたPIMが壊れてしまい、買い換えの必要が出てきました。1年前に製造中止となった機種で、内蔵のソフトが特殊なデータベースの仕様だったため、他の機種では代替できず、また当の機種は、英国では入手できませんでした。日本には、いまだに新品を扱う通販業者が複数あるのですが、いずれも海外発送をしていないとのこと。ところが、インターネットで検索してみると、米国には海外発送をする業者がありました。というより、米国のインターネット通販業者の多くは海外発送をしています。ただし、米国にはもう新品の在庫はないと言うことで、中古品しかありませんでした。Non-USの場合、送料が35ドルかかりました。9日で商品が到着、Usedの割にはいい状態のものでした。ただし、多分英国のVATと思われるTaxが、結構な額かかってしまいました。これは予想外、日本だったら、わずか5%だったのでしょうが・・・。英国では17.5%かかります。ですから、一般的にパソコンショップの商品は、日本より約2割り増しと見て間違いありません。また、ショップ間の競争も激しくないので、型落ち品、中古品も余り安くありません。もし、海外通販からVATを取らなければ、英国の業者はやっていけないでしょう。
それはともかく、日本の通販業者が、グローバリゼーションに乗り遅れているのではないかという実感を持ちました。諸外国の海外送料に対抗するには、日本の郵便ではSAL便ということになりますが、これでは平均2週間かかってしまいます。また、何らかのトラブルがあった際の対応が、日本の業者ではなかなか難しいのではないかと、こちらの人を見ていて感じます。「恐るべしBT」で述べたように、これくらいのトラブルでギブアップするくらいでは、ここでは生きていけません。欧米は、とにかく徹底的に言わなければ、何にも起こらない社会。だから、何でも徹底して言い、行動する。業者も、それに対応するしたたかさを持っているのです。英語教育も大切ですが、喋れるだけではダメです。喋れた後に来るもの、日本の教育に最も欠けている「子供をしたたかに育てること」が重要ではないでしょうか。
- (恐るべしBT)BTは、BakaTareの略ではありません。British Telecommunications
PLCつまり、日本のNTTに当たる会社です。ところが、渡英以降、この会社にまつわるトラブルが絶えません。まず、電話の引き継ぎで頼んだ覚えのない8つのサービス(3人で話せるのとか、ナンバーディスプレー等々、我々には役に立たないもの)が頼んだことにされ、基本料金が跳ね上がりました。請求書の宛名もEBOSHIではなくEDOSHIと誤って表記されるし、キャンセルと名前の訂正の電話をしたにもかかわらず、その後もキャンセルされず、請求が来ました。しかも、再びEDOSHI宛に。再度電話してキャンセルと訂正をしました。その時は、「とりあえず、入金して欲しい、次回にRefund(返金)します。」との返答で、そのまま支払いました。ところが、その次の明細書がなかなか送られて来ないな、と思っていると、年明け早々、今度はいきなり督促状です。年末の郵便の混乱で通常の請求書が不達となったのでしょう。それで、「明細書と通常の請求書が不達であること。明細書で不要なサービスのキャンセルが確実におこなわれていることと、Refundがおこなわれていることを確認したいので、再度送って欲しい」旨、文書(もちろん英文)でFAXしました。ところが、これに対して全くナシのつぶてでした。他方、国際電話で契約している会社の回線トラブルの場合は、対応も丁寧、Refundも確実でした。同じ英国の会社かと疑いたくなりますが、巨大企業BTの実体は単なる回線屋に過ぎないわけです。ここにはまだ英国病が残っているようです。通信の自由化の波で、我が国のNTTがこんな風に落ちぶれないように祈りたい気持ちです。
この国では、郵便が不達であるということも珍しいことでないようで、一度は、中身の小切手帳までコーヒーのシミの付いた汚損しきった封書が、平気な顔で届けられました。日本の郵便のようにお詫び状が貼付されるわけでもありません。郵便受けに入らない大きさのものは、家人を呼び出すわけでもなく、平気でドアの外に放置されます。
ちなみに、英国ではスペルの間違いは日常茶飯事です。ですから、EBOSHIのスペルはすべてのアルファベットに逐一、“E
for England.”、“B for BT”とか言わなければ、正確なスペルが伝わりません。もっとも、今回は実際にそうやってすら、誤入力されるという「どうしようもない例」です。もしかすると、BTではなくDTが正式名称なのかも知れません(皮肉です)。督促状はようやくBに訂正されていました。こんなので正確に書かれるとかえって腹立たしいですが。
(2001/1/25追記)そうこうするうち、来ました11月の請求が、しかもご丁寧に2通全く同じものが同時に・・・。2通同時に送付されるということは、郵便の不達と言うよりは、BT側の問題の可能性がはるかに高いと思われます。BTのどこかに引っかかっていたのでしょう。2通同じものが来たと言うことは、先日の私のクレームが「一応」処理され、明細と請求を送ってきたものと思われます。その時、一緒に宿便も出てきたのでしょう。いずれにしても、督促の振込用紙にしたがって既に払い込み済みですから、これらで払い込むことはありません。しかし、明細を調べると、やっぱりRefundはされていませんでした。不要サービスの解除はできているようですが。もう、私たちはクレームにも疲れ切って、さらにRefundの要求をするのはよすことにしました。
- (郵便局からの海外送金)シティバンクの場合は、国内銀行扱いですから、日本から「振り込み」で口座に入金できますが、もし、滞在先の銀行に直接お金を振り込む必要ができた場合、一旦、シティ銀行に振り込み、引き出し、滞在先銀行に預け入れという形になります。もし、直接現金を送る必要があれば「海外送金」という方法になりますが、これでは4000円の手数料がかかってしまいますし、中継銀行によっては、手数料を差し引かれる可能性もあります。(シティは前前月の残高が100万を超えると送金手数料が無料になります。2001年1月現在。同年8月有料化。)
全国約2万の郵便局で2001年1月4日から、欧米10カ国の民間銀行口座あてに、手数料400円で国際送金ができるようになります。ただし、400円は郵便貯金口座からの送金の場合で、現金での送金は700円(10万円以下)です。ただ、民間銀行間の手数料より大幅に安く、民業圧迫という批判もあります。1〜5日程度で届くということです。
ヨーロッパで開発された郵便局の国際電子送金システムを利用したもので、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ベルギー、リヒテンシュタインに送金ができます。電信の場合は加えて1000円の手数料が必要になります。今後対象国も拡大される見通しで、留学で滞在する身としては、有り難い送金ルートができることになります。
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