英国レディング滞在記
(2000/8/22〜2000/12/31)
レディング滞在記(2001/1/1〜) 英国雑感(食)
- (地方税)英国に居住すると、Council Taxすなわち地方税がかかってきます。これは、元々人頭税だったものが衣替えして設けられたものだそうです。貧富に係わらず課税される人頭税は、サッチャー時代に導入されたものの、暴動が起こるなど抵抗が大きく、不払いも多かったようです。Council
Taxは、性格は固定資産税のように家屋に対してかかるものですが、借家人が払う場合が多いようです。ただし借家人がいない場合、不動産屋か家主にかかるようです。それもあってか不動産屋を通して家を借りると、自動的に当局に連絡が行くので、すぐに請求書が借家人に送られてきます。セミデタッチドの場合、1年間で1000ポンド(16万円)を超えます。これは、月々の分割払いもできます。残念なことですが、不払いのまま帰国する日本人も結構いるようです。もっとも企業関係で英国に滞在している人ではそういった人は聞きません。(では、どういう人に多いか・・・、想像つくでしょう。残念なことですが。)以前は、6か月経つと児童手当がもらえたそうですが、ここ1,2年で規定が厳しくなったらしく、労働許可証を持っていない外国人はもらえなくなったようです。以前は、子供が3人もいれば、何とCouncil
Tax以上の額がもらえる計算になります。世知辛くなったというよりは、これも、そういった自己中の「先達」日本人のおかげでしょう。インターネットで検索すると、そういう自己中の先達たちの、まるで手柄話のごとき不払いの話(ホームページ)が、いくつでもヒットします。ちなみに、身体障害者、母子家庭など社会弱者には、きちんと減免の規定があります。失業者やフルタイムの学生も免除されます。ただし、本人がフルタイムの学生としての身分で減免の対象となっても、同居人がある場合は、そちらに支払い義務が生じることになります。
- (電気製品)仕事に必須のパソコンは、日本で買っても、ACアダプターが240Vにも対応しているのが普通ですから、コンセントのアダプターさえ持ってくればそのまま使えます。ただし、日本語版のソフトはこちらでは手に入りません。辞書類のソフトは、パソコンで仕事をする際には必須です。これも、より良いものをアマゾン経由で取り寄せる羽目になりました。「この程度でいいだろう」というのは失敗の元です。米飯が欠かせない人の場合、炊飯器はこちらの電器屋さんでも売ってはいますが、品質がいまいちで、保温しているとカラカラになったりするので、日本製のものを持参して、1500W級のトランスをこちらで調達するのがよいと思います。日本人の帰国売りで、日系の情報誌の売りますコーナーで入手するのが安あがりです。ロンドンまで行くと、日本人向けの中古ショップもあります。
こちらの電化製品は、壊れやすいという印象があります。ただ、初期不良の場合は実にあっさりと新品交換してくれます。英国流の品質管理でしょうか。壊れやすい理由は、ボルテージが高いこともあるかも知れません。電球などは、2週間に1本は切れると言っていいくらい頻繁に切れます。ヒューズも飛びやすいので大量に買い込みました。家にはじめからあったドライヤーもスイッチがショートしているらしく焦げ臭い匂いがして怖くて使えませんでした。しかし、電器屋さんに行くと、わずか千円ちょっとで買えました。これは100Vにも対応しています。旅行用の電気製品でユニバーサル対応のものを日本で買うとやたらに高価ですが、こちらで買う方が安上がりです。他にも、ひげ剃りやアイロンやポットなど小物は日本から持ってくる必要性はありません。こちらでも十分安いです。ただ、意外にコーヒー党の場合、電気コーヒーメーカーは大人数用ばかりで高価です。ペーパーフィルター用のドリッパーすら手に入らないので、少なくとも当座用にドリッパーは持参する必要があります。ペーパーフィルターはスーパーに売っています。紅茶ドリッパーのような筒状のコーヒー・ドリッパーがありますが、これはフィルターの関係で味覚的に私の好みには合いませんでした。
英国ではBBCの番組をはじめとして、良質な情報番組が随分あるのですが、日本のビデオやテレビは利用できません。日本はNTSC方式、ヨーロッパはPAL方式といい、方式が異なるので録画することも見ることもできません。英国の番組を録画するにはPAL方式のビデオを購入するしかありません。両対応のビデオもありますが、必ずしもPALで録画したものをNTSCで出力できる物ばかりではないので注意が必要です。また高価でもあります。
- (流通(雑貨・食料品店))日本では、コンビニエンス・ストアが市場を席巻して、昔ながらの雑貨・食料品屋さんはあまり見かけなくなりましたが、英国では、インド系・パキスタン系などの商店を街角でよく見かけます。これらの商店の品揃えは、大型スーパーの品揃えと明らかに異なっています。まず第一に、小分けして売っていること。例えば、大型スーパーでは大量にまとめて売られている物でも、よく小分けしてバラで売っていることです。例えば、ある留学生の話ですが、紙コップなど20パックは多すぎるが5パックならちょうどいいとき、少々割高であっても、こういった小さな商店で買うことが多いとか。米類でも、あまり見かけない単粒米(ショートグレイン)の500g小分け物がちゃんと100円程度で売っていました。第二に、売れるとなると、どこから仕入れたのか不思議なくらい珍しい商品があることです。たとえば、日本製のスナック菓子・日本酒・香りの無い石鹸・低料金をうたい文句にした無名の会社の国際テレホンカード・変わったラーメン類・駄菓子類、などどんな大型スーパーでも見かけない物がよく仕入れられています。ただし、若干割高です。これら珍しい商品は、100円ショップの商品入れ替え戦略よろしく、売り切れば入れ替わり、(これは、戦略と言うよりはむしろ不安定な仕入れが原因かも知れませんが)、時々寄ってみたくなるようにうまく回転しています。
大型スーパーの品揃えで言えば、明らかにまとめ買い指向が強く、こういった小商店の品揃えは思い切って切り捨てています。お互いよく棲み分けができているように見受けます。東京の秋葉原における大型店と小さなお店の関係に似た棲み分けがあるように思えます。ある意味、アジア的だと思えるのですが。
売り方と品揃えは、昔子供の頃お店に行ったとき、わくわくするような感動を覚えた記憶をよみがえらせてくれます。今や日本では、百貨店やショッピングモールですら、そうそうはわくわくするようなことはありません。日本では、ばかでかくてだだっ広いだけ、ファッショナブルで奇をてらったディスプレイをしているけれど、肝心の商品はどこかで見たようなもの、といったことが多いように思えます。若者の通信費に対する支出増が、小売りに対する支出を圧迫して消費不況が続いているとも言われていますが、理由はそれだけではないでしょう。
- (和書購入)海外生活をするにあたって、困難になることのひとつに和書購入があります。その点、ロンドンやその近郊に位置するレディングは恵まれてます。ロンドンには、日本人学校のあるアクトンやピカデリーサーカスには和書専門の書店があるからです。ただし、割高になります。例えば100円=1.2ポンドという換算レートで示されます。1000円の和書は12ポンドになります。つまり1920円になります。この円を単位とする換算レートは通常我々が頭の中で換算する際の逆のレート換算ですから、当初は少々混乱して安いと誤解してしまうことがあります。通常、定価の2倍以上します。(その後、値下がりして1.6倍ほどになりました。)
海外に来てまで、なぜ和書が必要かというと、まず辞書類。会話していて、分からない単語はスペルも分からないことが多く、カナ引きの和英が必要だということはこちらに来て実感しました。また、こちらの資料を訳すのに少々の大型辞書でも出ていないことがあります。人から紹介してもらった最高の語彙数を誇る英和辞書は、こちらに来てから発注する羽目になりました。それから、子供がいれば子供用の英和・和英辞書。実はこれらは、1セットづつ持って来ていたのですが、人数分必要であることに気づきました。意外にも、こちらに来て人から見せてもらった英国ガイド(和書)が欲しくなるケースがあります。
ところが、2000年11月1日、洋書のネット販売から発展したAmazonが日本に進出してきました。書籍のネット販売は、インターネット通販ででも伝統ある分野で、成功例も多くあります。とりわけ洋書は、円高の際には、取次業者よりもメリットがあること、洋書のニーズの大きい大学においてインターネット環境が早くから整っていたことなどから、他の商品よりもインターネット販売のアドバンテージがあったようです。ダイイチの洋書ネット販売は、インターネット通販の黎明期における成功例の一つです。
Amazonの場合、海外発送も実績があります。私のように海外から和書を取り寄せたい者にとってはありがたい存在になります。ちなみに、国際エコノミー便でイギリスまで取り寄せた場合、1配送あたり1450円、1商品あたり300円の手数料がかかります。2000円の書籍を5冊買うとすると、本の価格が10000円、配送・手数料が2950円で、支払総額は12950円となり、この例では約3割増しで買えることになります。支払いはクレジットカードで、ホームページ上のセキュリティシステムをONの状態で登録するだけです。ネット上のセキュリティシステムが信用できない人のために、カードの下4方だけ打ち込んで、残りの数字を電話やFAXで送るというシステムも選択できます。
アマゾン進出にともない、日本におけるネット書籍販売の大手BOLも、Amazon同様、年内の日本国内配送無料キャンペーンを発表し、さらに年内には海外発送も行うとWebページで発表しています。ネットワークにおける物販の競争は、短期決戦型でサービス競争も価格競争同様、熾烈となるようです。
アマゾンは、書籍以外の商品販売も日本アマゾンで行うと発表しています。この分野は、最近価格競争のあおりで収益をうまくあげられず、二重価格と非難された価格実験をアメリカでおこなって物議を醸したりしました。もし、書籍だけでなく一般商品もこの程度の配送料で購入可能となれば、海外生活者としては大変に便利になります。残された分野については、魚の干物や和菓子類など生もの配送(これらも物流の点で安価なコールドチェーンができれば可能。)や、重量の重い電化製品(ただし電圧や方式の違いなどの問題で使えないことが多い)などの場合、物流費がかさむことでしょう。
(2000/11/16追記)11月2日に注文した書籍は、11月3日に発送したとの電子メール連絡があり、16日の朝届けられました。今回の所要期間は2週間、国際エコノミー便です。
(2000/1/10追記)ホームページによると、BOLの海外通販は、SAL便による実費とのことです。これでは、ちょっと怖くてたのめません。本を買うとき、その本の重量を気にしながら買うというのは、精神衛生上良くありません。アマゾンの場合は、何冊注文しても1梱包あたり1450円(+300円×冊数)です。
(2001/2/8追記)1月末にアマゾンに注文した本は、国際エコノミー便で8日後に送られてきました。
(2001/2/9追記)BOLのホームページによると、海外配送に関して変更があったらしく、DHLによる配送と明記され、英国の場合の料金は1700円+800円×冊数とのことです。ただし、現時点では英国に関する限りアマゾンに分があるようです。
- (流通(スーパー))日本のスーパーとの違いは、ウェイトローズ、マークス・アンド・スペンサー、アズダ、センズベリー、セーフウエー等大型スーパーしかないこと。プライベートブランドの商品が多いこと。PBはスーパー名そのものです。カートは、2人の子供を並べて乗せられるタイプもあり、チャイルドシートのようなベルトもしっかりしたタイプもあります。カートは、駐車場まで押していくことができ、駐車場にカート置き場があります。英国の人たちは、一度に大量に買い物をするので、カートは満載です、自動車は頭から突っ込んで駐車し、商品をトランクに積みやすいようにしています。英国のスーパーは、日本のスーパーに比べて、子連れでの買い物に配慮されています。
英国人は、日本人に比べて列に並ぶことを厭わないと言われていますが、スーパーでの待ち行列の管理は、日本よりもはるかに徹底しているという印象を持ちます。客が多くても少なくても、待ち時間はさほど変わらないように管理されています。
日本のスーパーの問題点は、子連れに対する配慮が少ないこと、レジの待ち行列管理がしっかりしていないこと、カートの駐車場への持ち出し禁止により、重い荷物を車まで運ぶ必要があるなどの、買い物客の利便に対する配慮が不足していること、などがあげられます。さらに、車の駐車間隔も狭い場合が多く、運転の苦手な主婦には負担となっているようです。英国のスーパーでは、こういった問題はありません。ちなみに、多くのスーパーでは手提げかご専用レジ(小口専用)や身障者専用レジも用意されており、よりスムーズな精算ができるようになっています。
10月末に暴風雨があって、レディングでも低い土地は浸水しました。日本では、大雨があると、その時に洪水になりますが、英国では平地が多いせいか、翌日行ってみると水浸しになっていて通れなかったということがあるようです。災害もゆったり遅れて来るようです。その大雨の翌日、いつになくスーパーが込んでいて、レジに長蛇の列ができていました。私はすっかりレジ係が通行止めで出勤できなかったのかと思いましたが、それだけでなく、客も多かったようです。その理由は、暴風雨−通行止め−物流の混乱−物資不足の予想−買いだめ、という図式で、英国の人たちは買い物に走るためなのです。先のペトロールパニックもそうですが、英国の人々の危機に対する対応の早さが実感されました。その翌日には、スーパーの棚ががらがらとなったのは言うまでもありません。
英国の小売りで見られるのが、一旦は買おうと思ってやめる際にその辺に放置する客が多いこと、店の中で精算前の商品を平気で子供に与えていること、ある情報誌の記事によると万引きが多いこと(その記事にはアパレル関係の店の例で20%が万引きされると書かれていた。)、不良品の場合、レシートを持って申し出ると、実にあっさりと返品Refundか、新品交換されること、レジの間違いを申し出ると、その商品はタダにしてもらえ、しかも同額の金券をもらえること(そのせいかカスタマーサービスはいつも列ができている。)いずれとっても、損失となることばかりで、もともと物が安いこともあって、果たして利益は出ているのか疑問に思えることさえあります。英国人の特長の一つは、摩擦を回避することに全力を挙げることにあるようです。見知らぬ人に対するにこやかな挨拶、笑いを伴う会話(ユーモア)などもその現れなのかも知れません。摩擦を事前に回避する特質は、我々が知るアメリカ人と好対照です。また、むっつりしたり、尊大で態度が悪かったり、苛ついているのは、決まってアジア人(日本人?)です。
- (大学)レディングは、ロンドンの西方60km、テームズ川沿いに位置し、周辺農産物の集散地として栄えた町で、種苗生産、ビスケット製造などでも有名です。レディング大学は、1926年創立の総合大学で、土地柄か農学部が特に有名です。経済学部は、国際取引、経営学関係が充実しています。近年設立された経済学部の一部であるビジネススクール(ISMA
Centre - The Business School for Financial
Markets)が目立った発展をしています。
10月第2週から前期の講義が開始されます。それまで閑散としていたキャンパスが急に活気づき出します。色んな施設がオープンしました。私のオフィスのあるビルの1階は本屋ですが、専門書は、なかなかの品揃えです。購買部には、文房具はもちろんのことコンビニのようにジュースやお菓子から雑誌まで豊富な品揃えです(雑誌は本屋ではなくお菓子と一緒に購買部で売られています。)。その横には、パブがあり(英国らしい!)、小さなホールではミニコンサートが開かれていました。ゲーセンがあるのには驚かされましたが、ゲームが旧式のせいか、閑散としていました。1,2サークルの勧誘らしきディスプレイ(グライダーなど)がありましたが、日本の大学にあるような喧噪はなく、いい印象を受けました。
大学内には、博物館があります。Museum of
English Rural Life(イギリス農村史博物館)といい、外見があまりにもぼろだったため、これまで見過ごしていましたが、中に入ると驚かされました。広い展示室の中には、産業革命前の古い時代から現代までの、チーズやバターの製造農機具、耕作農機具、羊のはさみ・バリカン、ばかでかい蒸気機関とそれを動力にした耕作機や収穫機、戦前・戦後のトラクター、農村の生活用品、衣料品・・・等々、数え切れないほどの展示品が陳列され、きちんと解説が付いています。何十年前に亡くなった職人の作業工具が、在りし日の仕事風景の写真とともに展示されています。大英博物館のような宝物を集めた博物館もいいですが、このように失われがちな庶民史の博物館も非常に魅力があります。それに価値も高いでしょう。
受付には、ジョーク好きのおじさんがいて、にこやかに迎えてくれます。絵はがきやパンフレットも売っています。私が見学したときは、たまたまビデオを撮っている人がいました。写真撮影などについてもとても大らかです。また、入場も無料です。(市内の博物館も無料、大英博物館も無料です。)これが大学内の博物館かと目を疑ってしまいました。しかし、それは恐らく逆なのでしょう。日本の大学でこれほど充実したオープンな博物館を持つところは稀でしょう。残念ながら、それが私たちの常識になってしまっているのです。ここには、チャールズ皇太子も来たことがあると言うことで、写真も飾られていました。時々、小学校からもバスで見学に訪れるそうです。魅力ある大学づくりはこういったことからもできると強く感じます。
- (レクレーション施設)レディングには知っているだけで3か所、レクレーションセンターがあります。中には、図書館、集会所、プール(場所によってはスライダーなどの遊具もある)、トランポリン、バスケットボール場、小さな子供を遊ばせるバウンス(空気風船で膨らませた遊具)などがあり、300円程度(図書館など無料)で利用できます。公園は良く整備されていて、遊具も清潔、犬猫が立ち入れないような柵があり、地面は柔らかい材質で安全、幼稚園にはいる前のまでの子供を遊ばせるには最適です。天気がいい日は公園、天気が悪い日はレクレーションセンターを利用します。芝生の広場には、至る所ゴミ箱や犬の糞捨て箱が設置してあり、頻繁に収集されているので、清潔です。芝生などにある犬の落とし物も、日本のように何日もそのままということはありません。英国の税金は高いのですが、環境整備はコスト負担とのトレードオフです。実際に生活してみると、そういう意味でのコスト負担も悪くないという感想を持ちます。日本では、土木工事のための公園づくりをして、あとは放たらかしで荒れ放題の公園をよく見ます。
レディングに来ると小さなコミュニティ内の図書館の多さにも驚かされます。本自体も大変安く手に入ります。スーパーで、子供用の百科事典が1冊800円程度で手に入ります。本は売れ残るとどんどん値段が下がっていきます。日本における本の価格維持政策も、小さな出版社を守り、中央と地方で価格差や入手の難易の差がでないようにするものと聞いていますが、果たしてそれが、その国の文化レベルを高めることになるのかどうか、考えさせられます。日本でも、いわゆるベストセラー本は、比較的安価に入手できますが、必ずしも売れない良書は、売れなくても定価が維持され、結局裁断されていきます。システムを守り護送船団方式で、平均化する方が文化を守ることになるのか、疑問を感じます。
- (医療)病院を利用する際には、必ず最寄りの診療所(Group
Practice)に登録(Registration)する必要があります。登録のために診療所を訪れ、住所・氏名・英国に着いた日・生年月日など書類に書き込みます。そして、その場で登録ができる場合もありますが、後日、医師あるいは看護婦の問診を受けるための予約(Appointment)をとり、再度訪れます。私の場合は1週間後に検尿を持参して再度来ました。その際に、提出する書類には、過去の病歴、入院歴、使用薬、予防接種に関する質問項目があり、あらかじめ書いておきましたが、再度問診で聞かれます。医療用語は、まず聞いても分かりません。あらかじめ単語を予習しておくと楽なのでしょうが、ほとんどの人が苦労するようです。その際に、大人は予防接種を済ませていることが前提なので、あまり問題はありませんが、6歳以下の子供の場合、母子手帳を持参しておくと、書類への記入や問診への対応が楽になります。英国では、髄膜炎が一時流行して死者が出たため、その予防接種(Meningitis
C vaccine)が奨励されています。一番下の子(1歳児)を連れていましたが、問診のとき接種してもらいました。無料でした。
英国では、病院にかかるとき必ずアポイントメントを取らなければなりません。運が良ければ翌日、通常2,3日後です。かかったとしても、薬をくれることはまれで、基本的には「休んで治す」やりかたです。急患の時は、救急病院に行かなければなりません。歯医者の場合は、アポイントを取っても、1か月後ということもあり、患者自身がアポイントメントを忘れてしまうことすらあるそうです。
(2000/10/23追記)その後、知り合いが歯医者にアポイントメントを取った際に、1週間後だったという話がありました。
(2000/12/20追記)とうとう家族が歯医者に厄介になることになりました。日本関連情報誌で、日本語の分かるスタッフのいるというロンドンの歯医者に予約、3日後にとれました。結構スムーズで対応も良く問題ありませんでした。ただし、保険が効かないので、日本での治療費の3倍ほどしました。交通費もばかにはならない額ですが。
- (教育−小学校−)私の場合は、現地の小学校に子供を入学させました。こちらは、9月が新学期のスタート月ですから、日本で小学校1年生だった子はこちらでは2年生です。もし8月生まれだったら3年生に編入されます。小学校の勉強のレベル、いじめやケンカなどは、地域によってかなり差があり、幸運にもその小学校はかなりいい小学校だったようです。小学校までは歩いて6分。送り迎えが必須の英国では恵まれたロケーションです。
小学校への手続きは、住居が決まっていましたから、簡単でした。あらかじめ聞いておいた最寄りの小学校のFAXに、自分の紹介と2人の子供を入学させて欲しいというお願いを日本から出しました。後日アプリケーション・フォームがFAXで送られてきましたので、それに記入し再度FAXしました。すると、授業開始の前日に来て欲しい旨、喜んで迎えますとの返事をいただきました。ここまで、日本ですべて終わりました。渡英後に住居を探す場合は、これらの手続きは住居決定後に行うことになります。前日に行ってみると、教諭による学校内の案内、各教諭の紹介があり、簡単な質問、例えば英語は話せるか、アレルギーはないか、予防接種は受けたか、宗教は何かなど、を口頭で受けました。
基本的に無料ですが、よくボランタリーな寄付の要請が来ます。あるいは父母による教育補助の要請も良く来ます。博物館への見学、音楽会の催し、記念写真、ブックフェアーなどの良質なイベントが頻繁にあります。その都度、手紙が渡されますが、英文を読むのに一苦労です。サッカーやフランス語、料理や絵画などの子供達の課外活動も、無料か低料金で受けられます。上の子はサッカー、下の子は絵の教室に加わりましたが、きちんとした本格的な指導を受けてくるので、感心させられます。サッカーの指導レベルが高いことはもちろん、絵画の指導も、スケッチブックを見る限り、3次元の表現法、鉛筆・クレヨンの使い方など基本をしっかり教育しているようです。また、英語が話せない外国人の子供達には、特別に英語の補習クラスがもうけられます。(これは、幸運にも2000年度から始まりました。)
教室はすべてつながっていて、個々の机はなく、2,3人で共用するテーブルがあります。例えると大きな幼稚園のような作りです。音楽室や美術室などは独立した教室です。教室の壁を取っ払う試みは、日本でも実験校があるようですが、この環境なら、教諭不適格者はやっていけないでしょう。実際に当地の小学校の教諭は、すべて熱心でフレンドリーな印象を持ちます。
事前に聞いていたとおり、算数のレベルは日本の小学校の2学年下という印象ですが、近年、このレベルアップをはかるべくカリキュラムの見直しがすすめめられているようです。先日、小学校の査察があったようで、その要旨が学校より送られてきました。生徒のレベル、課外活動の評価、教師陣の評価などが記されています。学校側のコメントは「大変よい評価を受けました」とのことでした。父母のコメント、査察に対する反対意見もまた出せるようになっています。詳細なレポートは700円程度でもらえるそうです。その申込書も綴じられていました。
聞くところによると、隣接した地区の小学校では、いじめの問題などがあるらしいので、この例を一般化することはできません。私の場合、受け入れ教授の秘書に、どこの小学校が良いか事前に情報をもらっていましたので、ある程度目星をつけていました。ただし、日本での受験の観点から子供の教育を優先するならば、ロンドンの日本人学校(例えばアクトン校)に通わせることが住居選びの重要なポイントになります。レディングからアクトンに近いイーリング(ロンドン)まで4,50分はかかります。毎日通わせるのは無理です。レディングのようなロンドンに近い都市でも、土曜日だけのの補習校に通わせるか、公文のような民間の教育サービスに頼ることになります。それでも、せいぜい漢字を覚えさせることに重点が置かれます。ただ、家族で遊ぶ貴重な時間(土曜日は休み)を取られたくないということで、二の足を踏む家庭が多いようです。
小学校での昼食はサンドイッチ持参(プラスお菓子)か、スクール・ディナー(給食:約180円)のいずれかです。最初はサンドイッチを持たせましたが、そのうちおにぎりを持たせたところ、クラス中の注目を浴びたそうです。気の弱い子の場合、この段階で嫌になり、サンドイッチにしてくれと言うそうですが、我が子の場合は、目立ちたがり屋というか、注目を浴びてかえってうれしかったようです。その後、スクール・ディナーがおいしいというので、週3日は£1.13持参するようになりました。しばらくして気付いたことに、こちらの子供達の持参の弁当は、我々の感覚では手抜きが多いと言うことです。せいぜいジャムを塗ったサンド、ひどいときにはクラッカーと果物のみというケースもあります。実際、スーパーには冷凍食品や、加工食品が多く、穀類・豆類・野菜などの素材があまり売っていません(缶詰ばかり)。野菜は刻んだ物ばかりで、サラダ野菜としてビニールパックで売られています。近くにICELANDというスーパーがありました。最初はアイスクリーム専門店(それにしては大きすぎる)かと思っていたところ、実は冷凍食品専門店でした。小学校での子供の食事に重きを置いていないということもありましょうが、共稼ぎの比率が高いですから、食事に対する考え方も日本とは異なるのでしょう。(もっとも、日本でも手抜き料理が増えているようですが。)
(2001/2/10追記)2年生のクラスは13名で2人の教員がついています。2クラスですから1学年で26名ということになります。日本の40人学級とあまりにもかけ離れたよい環境です。日本では親があまりうるさくない低学年に新任や問題のある教師をまわす傾向がありますが、それとは逆に、ここでは低学年に実力のある若い教員を配置する傾向があるようです。トラブルも口げんかの域を超えることはまずありません。
- (図書館・ITサービス)Reading大学では、図書館でLibrary Cardを作成すれば、それが身分証明書のような役割を果たします。ライブラリーカードは、書式に記入して部局長のサインをもらえば、写真と一緒に提出後2,3日で入手できました。これを提示して、ITサービス・ヘルプという図書館内のカウンターでコンピュータシステムのアカウントを申請します。アカウントは、A3サイズのパンフレットにシールが貼られた形で封筒に入って渡されます。ユーザーID、パスワード、emailユーザー名(別名)が折られたパンフレットの内側になるように貼り付けられています。パンフレットには、emailサービス、アプリケーションサービス、PPPサービスなど諸システムの簡単な紹介と、それぞれのシステム別に、より詳細な情報が書かれたホームページのアドレスが紹介されています。詳細なオリエンテーションは、ほとんどホームページを自主的に見ることでなされています。パソコンの壁紙にはヘルプのURLが表示されています。 もう一通手渡されるパンフレットには、正しい姿勢でコンピュータに向かいましょう、とか、適当に体を動かしましょう、といった健康上の注意が書かれています。PPPはスタッフのみに開放されており、学生は利用できないようです。ただし、前述のようにフリーのプロバイダーが多数存在しますから、学生は外部からIMAP(popもサポートされている)でemailにアクセスしているようです。
図書館の端末室は50台ほどのパソコンがあり、うち10台ほどMacで、あとはWindows95です。まだ学期が始まっていませんが、学生で満員でなかなか利用できません。システムはほとんど福岡大学のパソコンシステムと同様に、サーバーにユーザー領域を持つことができ、そこに個人用ソフトなどを入れて利用しているようです。私の場合、幸運にもオフィス(2人部屋)を使わせてもらえることになり、そこでパソコンをつなぐことにしました。オフィスには、はじめから情報コンセントが備え付けてあり、パソコンデスクは普通のデスクと並んではじめからありました。IPアドレスの申請は、ホームページからオンラインで自動的に受理され、数日後にemailで通知されます。その際、動的にIPアドレスを割り当てる方式か、固定的なIPアドレスにするか決めます。DNSサーバー名など、LAN接続に必要な情報はホームページで公開されていますが、実際的に、準備なしに不案内の英国で自分のパソコンを接続するのは、かなり困難かもしれません。快適なネットワーク環境を得たければ、手順はほとんど日本と同じですから、接続手順と必要情報(IPアドレス、DNSサーバーアドレス、サブネットマスク、ドメイン名など)の設定手順を学習しておいた方がよいと思われます。
なお、私のReading大学のemailアドレスは、K.Eboshi@reading.ac.ukです。このように、イニシャル.姓@というemailユーザー名は、日本でも企業を中心に増えてきているようですが、私が知る限り日本の大学では、まだ姓だけのユーザー名が多いようです。姓が重なる場合など、同姓同名でない限り、ある程度区別できるので、名.姓@の形式は、変な名前を考えたりせずに済むので、いいかもしれません。
レディング大学内のLANに接続したパソコンは、大学外のホームページを見るには、プロキシーサーバー経由で見ることが義務づけられています。ブラウザーを新規立ち上げる度に、IDとパスワードを聞いてきます。パスワードをブラウザーに記憶させれば、OKをクリックするだけでいいのですが、ちょっと煩わしい感じがします。リアルオーディオをはじめ、利用できない(かあるいは設定が困難な)サービスがほとんどで、ホームページ閲覧がせいぜいといった感じです。このように制限の多いファイアーウォールになったのも、過去に不正アクセスによりファイル喪失などの被害にあったという苦い経験が底辺にあると、あるスタッフが話してくれました。感心させられるのが、学生の一部には批判する向きもあるようですが、大学スタッフは総じて、これを受け入れている点です。単なる一ユーザーとして、不便さに対して不満をあらわにしたり批判したりするのではなく、現在のシステムができるに到った過程をよく理解し、システムを作った大学の一員として、きちんと受け入れている点です。つまり大人としての対応ができているのです。
- (銀行口座開設)英国の大学内にはたいがい銀行の支店があり、在外研究者の場合、そこで口座開設の手続きをとれば、インビテーションレターとパスポートだけでOKです。英国の銀行口座は、開設すると、小切手、キャッシュカードとPINと呼ばれるキャッシュカード用暗証番号が、大体1週間から10日後くらいに開設の支店にできていますから、取りに行くことになります。その時点で住居が決まっていれば、別個に郵送してもらうこともできます。とにかく、その人専用の各ページに名前が印刷された小切手帳を発行するわけですから、時間がかかるわけです。渡英後に真っ先にこの手続きをすべきでした。
英国の支払いは小切手が一般的で、支払先を明記した預金繰り入れ専用(A/C
Payeeと線が2重に引かれています)の小切手であれば、それ以外の人が現金化できませんから、郵送することもできます。しかも、残高が足りない場合は、ある程度は銀行が見てくれます(ただし、結果的にかなりの手数料がかかることになります。)中には、悪い外国人もいて、帰国間際に残高を上回る小切手を切りまくり、帰国して知らん顔するというケースも少なくないらしく、一般的に口座開設の際の審査が厳しく、大学の支店以外では、インビテーション・レターを見せるだけでは、信用されないことが多いようです。預金通帳はなく、定期的に残高通知の封書が届きます。この通知書は、少なくともそれが郵送された時点に、そこに居住したという証明書代わりにもなります。例えば、3か月以上居住した人に権利が生じる在外選挙人登録の際に、在留届以外に、この通知書が証明書代わりになります。
小切手帳は、支払先、支払金額(例えば£34.15)、支払金額を文章で表現したもの(例えば、Thirty
four pounds and Fifteen pence only以下末尾まで取消線)を書き、銀行に届けたサインをします。小切手帳には入金用の伝票も綴じ込まれており、受け取った小切手や現金とともに、所定の内容を記入して窓口に提出してスタンプを押してもらえば、口座に入金されます。小切手は使ってみると大変便利であることを知りました。ATMは町中至る所にあり、24時間手数料なしで利用できます。むき出しの商店の並びにATMがありますから、ちょっと不用心な感じもしますが、大金をおろす人はそうそうはいないようです。
(2000年10月10日追記)レディングでしばらく生活して気付いたことですが、スーパーで買い物をする際、現金払いの人よりも、クレジット・カードやデビット・カードで購入する人が多いという事実です。たまに、小切手(預金繰り入れ専用)で支払う人もいますが、その際にも、銀行のカードを出しています。さらに、支払い時に、現金(お釣りではなくまとまった現金)を受け取っている人がいます。これは、20ポンド買い物をして、40ポンドで小切手を切ったり、デビットで支払いしたことにすると、商品と20ポンドの現金を受け取れるという仕組みです。つまり、スーパーのレジが銀行のキャッシュ・ディスペンサーの役割もしているということです。日本でもデビット・カードの普及期を迎えていますが、こういった使い方は、私が出国する8月時点でもあまり一般的ではなかったはずです。英国に来て、一般的等価物としてのお金をはじめて見たような気がしました。
- (不動産)住居探しは、私の場合、あらかじめ決めて渡英することができましたが、ほとんどの人が入国後エージェントに出向いて家を探します。ところが、身元保証が意外と困難となります。これは、エージェントに頼んだ人たちの話ですが、家を決めても、数日間入居できないことはざらです。大学からもらったインビテーションレターを見せても、派遣大学からの給与証明書があっても、全然信用してくれない。受け入れ教授からエージェントに電話してもらっても、信用してくれない。派遣大学に調査会社から照会のFAXが来ていたなどという例もあります。ここで、数日分の滞在費がかさむことになります。4人家族で10万円は覚悟する必要があります。(私は、単身で住居探しに1週間ほど来ないかと勧められましたが、その意味は来てから分かりました。)とにかく、誰でも知り合いの英国人に頼んで数多くエージェントに電話してもらうと、信用して入居させてくれることがあるようです。エージェントはにわかには信用してくれない、これは、外国人のみならず英国人でも同様の扱いであるという話もあります。さらに、不動産エージェントも大学の宿泊所・不動産紹介係(Accommodation office)から紹介されたものであっても、信用してくれない事が多いということです。
契約に際しては、契約書を良く読んでサインしないと、とんでもない条件が付いていることがあります。実例ですが、入居後に内装のペンキ塗りをすることが書かれており、3週間にわたってシンナー臭くて作業中は家に居られなかったという話もあります。そういう場合は、こちらでは迷惑料(その期間の家賃のリファンド)を要求するのが普通です。ガス給湯が故障して動かないとか(ガスでヒーティングする場合が多いですから、冬は凍死してしまいます。)、前の住人がペットを飼っていて、床のカーペットがペットの毛だらけ、ダニが居たなんてこともあります。給湯、水道の水漏れ、カーペットの洗浄などはあらかじめ要求しておくべきです。
ここ数年の好況もあって、ロンドンや地方都市では、住居費が高いです。最低で12万円はかかります。1軒屋をDetached、片側だけ壁で隣家に接した家をSemidetached、長屋形式をTerraced houseといい、一般的にこの順で家賃は安くなります。
家賃の支払いは、預金からの自動引き落としをエージェントから要求されることが多いようです。それを、Standing Orderと表現するそうで、この意味が分からなくて苦労する人が多いようです。これは、そのままでは継続注文とか軍規とか言う意味ですが、英国(口語)ではBanker's
orderと同じ意味で、預金口座からの定期的引き落としの意味があります。ですから、不動産契約時点で、銀行口座を持っていた方がよいことになりますが、口座開設自体が手間がかかります。英国では、電話のTakeoverも同様ですが、「英会話教室では教えてもらえない慣用的言い回し」がキーワードであることが多く、苦労します。
(2000/9/29追記)ロンドンなどではよくある日系の不動産業者の場合、上記のような問題はあまりないようです。
- (自動車)生活する上で車は必要ですが、英国での車の所有には、3つのポイントがあります。一つは所有権の移転。これは、車検証のようなVehicle
Registration Document V5という登録証のがあり、ミシン目で3つのパートに分かれます。一番上の一番大きなパートに、新しい所有者の氏名・住所、所有権移転日、走行距離、旧所有者のサインと新所有者のサインを書いて、DVLAに郵送すると、新しい登録証が送ってきて所有権移転が完了します。逆に言えば、これごと車を盗まれると簡単に所有権が移転してしまいますので、こっちの人は登録証は車の中には絶対入れておきません。(保険証書や免許証などももちろん。)
つぎに、保険ですが、サード・パーティー・オンリーと呼ばれる第三者対人・対物賠償のみのものから、火災盗難を加えたもの、コンプリヘンシブ(包括保証)までさまざまで、保証レベルがあがると金額も上がります。通常、チェック(小切手)を郵送して支払いますが、銀行手続きに期間を要しますので、私の場合、保険会社の事務所に直接出向き、現金を支払って証書をもらいました。英国では近年景気が比較的良いせいか、高級車や新車が目立ちます。
3つ目が車検に当たるMOTテストをうけ、パスすること。パスしなかった部分は修理に回さなければなりません。整備後に再テストを受けMOT
Test Certificateを得ます。MOTは1時間ほどで終わります。安全性に関するチェックが中心で、それにパスすると、MOTテストに通ったという認証書がもらえます。1回でパスすれば、費用は5000円強です。このMOT
Test Certificateと保険証書を持って郵便局へ行き、Road
Licenceを得ます。この費用が少々高く、20000円ほどかかります。この手続きは、3年以上たった車には毎年必要です。費用的には、13万円程度する日本の車検制度より格安と言えるかもしれません。
以上の手続きは、中古車屋から車を購入する際には、すべてやってもらえるはずです。ただ、名義の書き換えを確実にします。また、面倒な手続きがいっさい嫌な場合は、レンタルで車を借りることもでき、費用的には中古車購入とほとんど同じくらいで1年間車が利用できます。ただ、中古車の場合、さいごに売却してその利益が還元されるメリットがあります。もっとも、うまいこと帰国間際に売れるとは限らないので、これも結構煩わしい点ではあります。
英国では、ガソリンスタンドは、ほとんどがセルフサービスです。例えば無鉛ガソリンを入れるときは、自分で自分の車の給油口にレバーを引いてガソリンを入れ、レジでポンプ番号を言って支払います。私も最初に迷いましたが、メーターには、前の客のリッターと料金が表示されています。そこでいつまで待っても、ゼロになりません。実は、給油ホースを手にとってしばらくそのままにしていると、自然にリセットされます。それから給油します。給油後は、ポンプ番号をレジに言って、クレジットカードで支払います。もちろん現金でもOK.です。
(2000/9/13追記)英国では、燃料費が高いことに対する抗議(フランスが発火点)に端を発した、ガソリンスタンドに対する補給拒否(妨害)により、多くの車がガソリンスタンドに殺到するパニックが起こり(9/11〜9/12)。ほとんどのガソリンスタンドのガソリンが底をつく(9/13)と言ったFuel
Crisisが起こりました。レディングでも全く同様の光景が見られました。12日の給油待ち車の長蛇の列は、かつて我が国の石油パニック時のトイレットペーパーに殺到する消費者を彷彿とさせました。この余波で、物流の一部も影響を受け、商品の無い商品棚の映像がニュースで流されています。我が家の車は2/3ほど残っていますが、しばらく緊急時以外は使わないことにしました。
(2000/10/23追記)9月下旬にMOT証と保険証を持って、意気揚々とロードタックスを払いに郵便局に行ったところ、どういう訳か、来月になって来いと言われました。その理由は10月下旬に分かりました。DVLAからロードタックスを払えと言う手紙が届き、同封された書類に記入の上、MOT証と保険証を提示したところ、あっさりと来年10月いっぱいまでのタックス支払い済み証(ディスク)をもらえました。2000年10月段階では、1年間£155(約24800円)です。日本人的せっかちは通用しません。
- (インターネット接続)私は、日本で某プロバイダーに加入して、英国のアクセスポイントを利用するつもりできていましたが、付加料金が1分あたり8円かかります。考えてみると、1日30分の使用で、付加料金だけで7200円かかる計算になり、不経済です。英国にはフリー(無料)のインターネット接続業者がいくつもあり、そこを使って接続することで、電話代(1分間で平日昼間5.5円、夜間2.4円ほど)だけで接続することができるようです(ただしサポート料金は高い)。ただし、こちらの有料プロバイダーには、定額の使い放題料金を払うと通話料金が安くなるサービス(たとえば、そこのアクセスポイントだと平日昼間1分で3.2円とか)が付加されている場合があり、利用時間が長い人やサポートを利用する人は、有料プロバイダーの方が安くなるようです。つまり、アクセスポイントまでの回線を業者がBTから安く仕入れ、消費者に安く提供しているというわけです。NTTに支払う市内通話料金とは通常リンクしていない日本のプロバイダーとは少し事情が異なるようです。NTTの市内回線接続料が日本の場合高いというのは、このようなサービス事業を困難にしているのでしょう。
- (国際電話)英国からの国際電話は、日本からの国際電話よりも随分安いサービスがあります。英国内にKDDIやSWIFTCALL、AXS、First:Telecomなど、さまざまなサービス会社があり、電話での申し込みで、即日利用可能になります。メジャーな会社の場合、申し込みは日本語でできます。
(2000/9/21追記)実は、英国から日本への国際電話は、日本から英国にかける場合よりずっと安いのです。規制緩和による競争激化によるものと思われますが、渡英後に日系の情報誌(ジャーニーや英国ニュースダイジェストなど:これらは、日系の日本食材店などで無料配布されています。)に大きく広告が出ています。1999年時点と今年2000年時点での比較でも半額近くになっています。ですから具体的な数字をあげるのは無意味で、渡英後にそういった情報誌で通信会社を比較して検討すると良いでしょう。ちなみに、2000年時点ではBT回線の電話をもっている人が申し込みできます。国際電話をかける前に、通信会社の番号に電話して暗証番号を打って、国際電話をかけると言ったタイプや、登録した電話から、3桁の番号に続いてそのまま国際電話をかける方式など会社によって様々ですが、ちょっとした手間を惜しまなければ、安くあげることができます。ただ、BT(日本のNTTにあたる)でそのまま国際電話をかけると、日本からかけるのと大差ない、多額の請求がBTから来ることになります。
(2000/11/2追記)10月26日以降、私が契約した英国系A社の回線が、日本につながらなくなるということがありました。こちらでは呼出信号が聞こえず、無音が続いた上に、"Your
last call cost * pence"と課金額だけ聞こえて切断されます。実は先方ではベルもなっており、電話をとるのですが、通話不能で音声がお互い届いていないようです。何度も通話に失敗して、結局現在までのところ30ペンスほど無駄に課金された勘定になります。(ただし、うち25ペンスは即Refundされました。)
日本でもi-modeやフレッツの不具合の頻発など、通信の不具合は珍しいことではないのですが、1週間以上復旧できないでいることは、日本では考えられません。ちなみに、日本企業系の国際電話サービスは不具合なく使えています。電子メールで問い合わせたところ、11月1日段階で"Although
the generalised problem has been solved there
are evidently still a few glitches on the
line."との回答を得ましたが、その後も不具合は続いています。最初に£30を前払いし、使用分だけバランスから減額するというシステムですから、このような状態が続くと、例えば帰国間際の人の場合、使い切ることができなくなるので実害も大きいでしょう。
(2000/11/5追記)ただ、この不具合も約2週間でほぼ解消して、その後は問題なく使えています。残りのRefundも受けました。
(2000/11/6追記)その後、phonecardという物の存在を知りました。街角の小さな商店で売られていて、何種類かあります。それぞれの会社によって、国別の1分あたり料金が決まっていて、日本にかけたいときは、日本までの通話料が一番有利な種類を選ぶことになります。その中に、日本までの通話料が異常に安い物があり、昼間の市内通話料と同じ額のものすらあります。方式は、電話に挿すわけでもなく、裏面のスクラッチ部分を剥がすと、PINコードが現れ、その会社専用のフリーダイヤルにかけた後、PINコードを打ち込み、その後、日本までの電話番号0081-***をプッシュすることになります。PINコード入力後、残額がコールされます。カードの£5,£10、£20とありますが、£10(¥1600)は£3(£20は£7)のおまけが付いていて、計算すると一見信じがたい低料金になるような気がします。ところが、これがとんだ食わせ物でした。まず、(1)宣伝文句の国際通話料は最高額カードのフリーコール分も“込み”のレートだったのです。つまり、ほとんどの人が錯覚する「安い上に、おまけまで付いている」のではなくて、「ホントはもっと高いんだけど、フリーコールが付いているから、これになるんだよ」ということなのです。(2)実は英国のフリーダイヤル0800では確かにBTからの請求は来ないのですが、当の会社から1分あたり5ペンスの通話料を徴収されていたのです。それで、No
Connection Chargesと謳うのですからひどいもんです。これらの情報は、当該企業のWebページの下の方に、小さい文字で目立たないように書かれていました。計算すると1分あたりの日本までの通話料は、表向きの通話料の3倍近くになる計算です。朝三暮四、不明朗会計です。もっとも、それでも日本から英国に国際電話をかけるときの通話料の半分以下です。日本の国際電話って一体・・・。(注:日本からの国際電話は時間帯で大きく料金が変わります。11時以降は日本も安い料金になります。2000年11月現在、日本から英国まで001でかけた場合、1分間60円。0033でかけた場合、1分間53円です。平日昼間の時間帯は、ともに1分間140円以上です。時差もありますので、日本から英国に電話をかける場合は、夜の11時以降が相当お得です。英国から日本へかける場合、時間帯は関係ありません。)日本から英国の012-3456に電話をかけるときは、例えば001、0033に続けて44そして最初の0を取った番号12-3456の順で押します。続けると、0033を選択する場合、0033-44-12-3456を一気にプッシュすればいいのです。料金は後日請求されます。
日本から英国に国際電話をかけた場合の1分間料金(2000年11月現在) |
0033 |
001 |
月〜金曜
08:00〜19:00 |
月〜金曜日 19:00〜23:00
土・日・祝日 08:00〜23:00 |
23:00〜08:00 |
月〜金曜日
08:00〜19:00 |
月〜金曜日 19:00〜23:00
土・日・祝日 08:00〜23:00 |
23:00〜08:00 |
140円 |
120円 |
53円 |
143円 |
140円 |
60円 |
- (電話)英国の大学は9月にスタートします。8月中はホリディで、大学内は閑散としています。8月いっぱいは、英国での滞在のための準備期間になりました。まず、電話です。英国ではBTが日本のNTTにあたる通信会社ですが、入居した時点で、前の住人は電話の契約を解除していますので、それを引き継ぎしなければなりません。BTのサービス(日本の106に該当する100に電話すると回してくれました。)に電話して、引き継ぎたい旨を伝えると、1,2時間で使用可能になります。引き継ぎはTakeoverといいます。通常、その前の住人に割り当てられていた電話番号がもらえるようです。電話が使えなければインターネット接続もできませんし、Takeoverができるまでの2日間ほど大変な不便を感じました。
(2000/9/20追記)電話のサービスには、日本のナンバーディスプレーや3人同時通話など様々なサービスがあり、Takeoverの際にそのRequirementsを聞かれることがあります。通常、これらの付加サービスは不要なことが多いでしょう。電話で英語で応対するのは、来たばかりの頃はなおさら緊張します。漫然と応えていると、これら不要なサービスを頼んだことになってしまい、無用の出費がかかる可能性があります。付加サービスは不要で、ただ電話し、かかってくるだけでよい、と明確に応える必要があります。
- (入国審査)ヒースローでの入国審査は、審査官によって、トラぶる場合もあるようです。噂では女性の審査官は厳しいとか、服装がラフだと厳しくなるとか言われています。私は念のため空港のトイレで背広に着替え、家族もよそ行きに着替えさせました。その甲斐あってか、極めてすんなり許可がおりました。ただ、通常、在外研修でVisiting
AcademicあるいはVisiting Scholarとして英国の大学からのインビテーション・レターを持参している人は、審査官・服装に関係なく、あらかじめのビザは不要で、家族ともども、その場で1年間の滞在許可がおりるはずです。ただ、家族同伴の際は、インビテーションに家族同伴である旨を受け入れ大学から記載してもらう方がよいようです。私もそのように聞いてインビテーション・レターを再度出してもらいました。このようなお願いは失礼にはなりません。トラブルの実例では、本人には1年の許可を与えるが、家族は半年(観光ビザ)だけだなどと言われた人もいると聞いています。また、念のため、派遣大学からの給与証明書などを持参しているとなお良いようです。
留学生情報では、入国審査の現場で待っているときに携帯電話で話しているなどしていると、滞在期間延長目的の再入国と目を付けられる恐れがあるそうで、実際、私たちの隣の窓口では、直前まで携帯で話していたアジア系の留学生らしき若者が、別室に連れて行かれていました。もっとも、在外研修者であらかじめ携帯電話を持っている人は皆無とは思いますが。(2000/9/21記載)
- (シティバンク)海外に長期で行く人は、たいがいシティバンクの口座を作っていくようです。外国のたいがいのキャッシュポイントで、現地通貨で引き出しができます。月間平均残高が30万円を下回ると、口座管理費として月々料金を徴収されますが、逆に100万を越えると、通常4000円程度かかる海外送金をはじめ諸手数料が免除されると言うメリットもあります(口座開設2ヶ月間は残高に関わらず免除)。ただし、海外送金については、2か月前の平均残高になるので、私の場合、9月に手続きをしたところ、開設月の7月の平均残高が100万未満(*)で、手数料がかかりました。あらかじめ早めに平均残高100万を越えるように準備できればそれに越したことがないでしょう。預金通帳はなく、カード1枚だけです。海外にカードを持っていけば、日本の給与振込先銀行からは、通常の他銀行宛の振り込み扱いになります。 (*)例えば、15日に100万円預けると、月間平均は50万になります。
最近ではインターネット経由で、振り込みや残高・取引照会ができる銀行が増えていますので、あらかじめ振込先にシティバンクの自分の口座を指定しておけば、海外からインターネット経由で、他銀行から預金の振り込みができるようになります。(銀行の中には登録なしに振込先をその都度指定できる場合もありますが、危険は増えるでしょう。)暗号化技術を使っていますから、安心ともいえますが、絶対ということは言えません。私の場合は、日本でお願いしている人に振り込みを依頼することにしました。ちなみに、海外のATMでカードを飲み込まれた経験を持つ田村教授の忠告に従い、妻名義の口座も作ってきましたが、このおかげで、随分安心感があります。お互いのカードを、振込先登録すれば、電話1本で預金を相互に移動することもできます。
着いて早々、2日間にわたって大学のATMおよび大学周辺の商店横のATMで、お金を引き出せないという経験をしました。原因は、通信不良によるもので、カードの問題ではなかったようですが、2日目には妻のカードでも試して、同様にだめだったので、カードの磁気記録の問題でないとわかり、一安心できました。2日目に、タウンセンターまで出向いて、そこのATMでは引き出せました。日本人留学生や他の海外研修者に聞いたところ、これまで問題なく引き出せていたそうで、頻繁に起こることではないようです。電話で日本のシティバンクに問い合わせたところ、ATMの場所を変えたり何度か試せば出るかもしれないと言う回答でした。(実際には、そうやってもダメだったのですが。また、金額の問題でもなかったようです。) また、何度も試せばカードを飲み込まれませんか?という質問には、「皆無とは言えない」という怖い回答で、結局、大学内と周辺での引き出しはしばらく控えることにしました。ただ、現金引き出しの生命線とも言える、シティバンクのカードで引き出せないかもしれないと言う状況には、かなり危機感を感じました。とりあえず、いくらかでもトラベラーズチェックなどを用意することも危険分散(あるいは精神衛生)の上から必要かもしれません。もっとも、私の場合は分散させるほどの余剰資金はありませんでしたが・・・。(2000/9/21記載)
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